2022 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of the mechanism of AML progression through a genomic structure-dependent regulation of transcriptional elongation
Project/Area Number |
22H03099
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
星居 孝之 千葉大学, 大学院医学研究院, 講師 (20464042)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増田 豪 熊本大学, 大学院生命科学研究部(薬), 助教 (70383940)
荒木 喜美 熊本大学, 生命資源研究・支援センター, 教授 (90211705)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 転写 / 白血病 / 休止解除 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒストンH3のK4トリメチル化はES細胞や白血病細胞の未分化性維持に必須とされており、遺伝子の発現量と相関性の高いエピゲノム修飾の一つである。近年申請者はH3K4メチル化酵素SETD1Aが転写伸長補因子のCyclin Kと結合し、酵素活性とは独立した機構で急性骨髄性白血病(AML)細胞増殖に関わることを報告した(Hoshii T et al. 2018, Cell)。さらに直接的な下流標的因子を同定するため、degTAGシステムを用いてSETD1Aを速やかに分解させた後に、機能評価(細胞増殖評価、RNA発現解析、ヒストン修飾解析など)を行なった。その結果、SETD1Aは双方向プロモーター下で制御されるHead-to-Head(H2H)遺伝子群の発現に必須であり、DNA修復とミトコンドリア代謝を同時に活性化することを見出した。各種のヒストン修飾(H3K4me3, H3K27Ac, H3K79me2など)に異常は認められなかった一方で、ヒストン修飾H3K36me3は著しく減少しており、SETD1Aの標的部位にてRNA polymerase IIが顕著に蓄積することが明らかとなった。この結果から、SETD1A欠損時には転写伸長が直接的に阻害されることが明らかとなった。蓄積するRNA polymerase IIは高度にC末端ドメインCTDの5番目のSer(Ser5)がリン酸化されており、一方で2番目のSer(Ser2)は明らかな減少が観察された。この蓄積の特徴は転写の休止状態を示すものであり、SETD1Aが転写の休止状態解除に必須であることが明らかとなった(Hoshii T et al. 2022, Cell Reports)。このようにSETD1Aを介した転写伸長制御が特徴的なゲノム構造を持つ遺伝子の発現制御に必須であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまではSETD1Aと転写伸長制御因子であるCyclin Kが直接的に結合することを報告していたが、転写異常については十分明らかには出来ていなかった。本研究では、degTAGシステムによりSETD1Aを速やかに分解出来る白血病細胞株を樹立し、RNA polymerase IIのリン酸化をChIP-seq法により検出した結果から、SETD1A欠損後に転写の伸長が阻害されていることを明らかにした。この時、ヒストン修飾に大きな異常は観察されず、RNA polymerase IIの働きが直接的に影響されることを確認した。またCTDリン酸化酵素阻害剤を用いた解析からも、異常なリン酸化が生じる機構についても新たな仮説を提唱する結果を示すことが出来た。転写伸長の過程をChIP-seq法により解析し、SETD1A欠損後に転写伸長が阻害される原因として、転写休止複合体(Negative elongation complex)が安定的に維持されることを見出した。SETD1A欠損下ではhead-to-head遺伝子座に存在する遺伝子がより発現変動を示すことから、特異的なゲノム構造を持つ遺伝子において、転写休止解除機構の制御にSETD1Aが必須となることを論文として報告した(Hoshii T et al. 2022, Cell Reports)。
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Strategy for Future Research Activity |
転写休止複合体やCTDリン酸化を制御するIntegrator複合体について、近年構造解析が盛んに実施されており、複合体の構成因子が明らかになってきたが、SETD1Aとの関連はほとんど報告がない。申請者の共同研究グループが近年開発したCRISPR tiling screen技術(Yang L. 2021, Nat Commun)を活用し、プールsgRNAライブラリを構築して、転写伸長制御因子の網羅的な機能評価を実施する。ゲノム構造との連携についても、ChIA-PET法により解析を進める予定である。
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Research Products
(5 results)