2022 Fiscal Year Annual Research Report
末梢自己反応性B細胞の生体恒常性維持における役割の解明
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22H03112
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田中 伸弥 九州大学, 生体防御医学研究所, 准教授 (80462703)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 自己免疫疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
世界人口の数%は、何等かの自己免疫疾患に罹患していると報告されているが、その根本的治療法は確立されていない。同疾患の発症は、自己反応性リンパ球の活性化が直接的な原因となる。一部の自己免疫疾患においては、B細胞枯渇療法の有効性が、同疾患の制御におけるB細胞の重要性を示唆している。研究代表者は、末梢自己反応性B細胞の寛容破綻、それに続く自己免疫反応、疾患を生理的条件下で解析できる独自モデルを樹立しており、昨年度は、同マウスシステムを改変することにより、タモキシフェン投与によって、時期特異的に寛容破綻を誘導するシステムを樹立した。このモデルにおいては、タモキシフェン投与によって、B細胞の活性化マーカーであるCD86を発現するB細胞の活性化が生じ、それに伴って、CD4陽性T細胞の活性化が引き起こされることが明らかになった。また、血中における自己抗体産生が認められた。従って、このモデルは、自己免疫反応の初期過程から疾患発症に至る後期まで解析できるマウスモデルであることが明らかになった。また、自己免疫疾患発症の原因となるCD4陽性T細胞を同定する為に、T細胞活性化を追跡するレポーターマウスの樹立を行った。そのレポーターマウスでは、T細胞の活性化によって産生されるIL-2発現に同期してEGFPが発現する。同レポーターマウス由来のCD4陽性T細胞を抗原刺激することによって、IL-2とEGFPが共発現するT細胞が認められた為、同レポーターシステムは機能的であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度において、時期特異的な自己免疫疾患モデルの樹立し、同システムが機能的であることが示された。また、自己反応性CD4陽性T細胞を同定するレポーターシステムの構築にも成功している。よって、自己反応性リンパ球の制御を担う分子メカニズムの解明に進むことが可能であり、概ね予定通りに研究計画が進行しているものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
時期特異的自己免疫疾患モデル及び、レポーターシステムを組み合わせることで、自己反応性リンパ球を同定できるかについて検討を行う。それが機能的であれば、空間オミクス解析を実施することで、自己反応性リンパ球の制御を担う分子群の探索を行い、それら分子の機能解析に進む。もし、レポーターシステムや空間オミクス解析等に改善の余地があれば、それらを実施する。
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Research Products
(2 results)