2022 Fiscal Year Annual Research Report
2型糖尿病における膵α細胞(グルカゴン分泌)障害メカニズムの解明
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22H03125
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
北村 忠弘 群馬大学, 生体調節研究所, 教授 (20447262)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | グルカゴン |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究代表者の研究成果から、α細胞のGLUT1はグルカゴン分泌を負に制御し、逆にSGLT1はNa+のα細胞内への取り込みによる膜電位の変化、Ca2+の流入を介してグルカゴン分泌を正に制御している可能性がある。従って、本研究においては糖尿病状態ではα細胞に発現するSGLT1が増加し、逆にGLUT1の発現が減少することで、グルカゴンの過剰分泌をきたすという仮説の検証を行なっている。その目的のために、SGLT1とGLUT1のFLOXマウスを応募者が所属する研究所のゲノムリソースセンターとの共同研究で、CRISPR/Cas9法を用いてFLOX配列を挿入した遺伝子改変マウスの作製を行なった。その後、deletion PCRを用いて、実際にこれらのマウスから単離したラ氏島でノックアウトの確認を行い、グルカゴンCre-ER2マウスと交配し、SGLT1 flox/flox: Gcg-CreER2マウスを作成した後、タモキシフェン投与によるノックアウト効率を調べたところ、約87%の効率でSGLT1がノックアウトされていることを確認した。現在、これらのマウスを高脂肪高ショ糖食で飼育し、肥満・糖尿病を誘発した後、コントロールのSGLT1 flox/floxとの比較で糖負荷試験、インスリン感受性試験における血糖値、血中グルカゴン濃度、血中インスリン濃度の解析を行なっている。さらに、これらの代謝機能の解析後にマウスの肝臓、膵臓の組織学的解析、単離したラ氏島を用いたグルコース誘導性インスリン分泌能の評価を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していたSGLT1 flox/flox: Gcg-CreER2マウスの作成に成功しており、さらに実際のノックアウト効率の評価を行い、87%の効率を確認できた。本年度以降、これらのマウスを増幅し、代謝機能解析を行う予定も進んでおり、おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は予定位通り、SGLT1 flox/flox: Gcg-CreER2マウスの代謝機能解析を行い、糖尿病病態が改善するか検証する。また、GLUT1 flox/flox: Gcg-CreER2マウスの作成も行い、SGLT1 flox/flox: Gcg-CreER2マウスと逆の表現型になるのかを検討する。マウスの交配、増殖、飼育状況に問題はなく、予定通りに研究が推進できると考えている。
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