2023 Fiscal Year Annual Research Report
加齢や過栄養摂取が白色脂肪組織の細胞連関に及ぼす影響の解明
Project/Area Number |
22H03126
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
山田 哲也 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (90400374)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 糖尿病 / 臓器連関 / 細胞連関 |
Outline of Annual Research Achievements |
2型糖尿病は、遺伝素因を背景に加齢や過栄養摂取などの後天的な要因が発症に深く関与している疾患であるが、個体には臓器連関による糖代謝の恒常性維持機構が備わっており、これらの要因に対して防御的に働いている。一方、臓器/組織も多種の細胞から構成されているが、これまでは研究手法の限界があり、臓器/組織の恒常性維持における細胞連関の解明は十分でなく、ひいては臓器/組織連関の分子メカニズムの解明の妨げとなってきた。本研究では、糖代謝における臓器/組織連関において重要な役割を担っている白色脂肪組織に焦点を絞り、シングルセル解析を駆使し加齢や過栄養摂取に対する細胞連関の分子メカニズムの全容解明を目指す。昨年度までに、白色脂肪組織は、白色脂肪細胞、脂肪前駆細胞、免疫細胞、血管内皮細胞などから構成され、それぞれが様々なサブタイプに分類できることが明らかとなり、老齢となることでサブタイプのプロファイルが異なってくることが明らかとなった。また、老齢マウスで増加が認められたサブタイプについて詳細な解析を行ったところ、老齢環境におかれても生存率が高いことが明らかとなり、更に特異的に発現する分子がその原因の一つとなっていることが明らかとなった。 本年度は高脂肪食を負荷することによって肥満2型糖尿病を発症したマウスの白色脂肪組織についてシングルセルRNA解析を行った。その結果、マウスの皮下白色脂肪組織から計33の細胞集団を同定した。そのうち成熟脂肪細胞の細胞集団は7つであった。RNA Velocity解析により、ベージュ脂肪細胞とは異なる方向に分化する特徴的な成熟脂肪細胞の集団を認めた。この集団は、肥満に伴ってコリン代謝に関わる遺伝子の発現増加を認めており、肥満状態に特徴的なサブタイプであることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高脂肪食に負荷によって白色脂肪組織を構成する細胞のサブタイプに生じる影響が、シングルセルRNAシークエンスを活用して明らかとなった。さらに高脂肪食負荷マウスに特徴的な細胞のサブタイプを同定し、責任遺伝子の候補を同定することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究により発見された老化や高脂肪食負荷によって白色脂肪組織に特徴的に出現してくるサブタイプの詳細な分子メカニズムについて、それぞれに発現する特徴的な分子を手掛かりに解析を進める。具体的には、老齢マスではcarbonic anhydrase、高脂肪食負荷マウスではコリン代謝に関わる遺伝子に着目する。それぞれの遺伝子について、ノックダウン、過剰発現を行うなどの実験をin vitro、in vivoで行い、サブタイプが有する性格を明らかにしていく。
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