2022 Fiscal Year Annual Research Report
ハイブリッドフローサイトメーターによる血中循環腫瘍細胞の新規質的診断法の開発
Project/Area Number |
22H03145
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
竹内 裕也 浜松医科大学, 医学部, 教授 (20265838)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊池 寛利 浜松医科大学, 医学部, 准教授 (70397389)
平松 良浩 浜松医科大学, 医学部, 特任准教授 (00397390)
松本 知拓 浜松医科大学, 医学部附属病院, 助教 (10867229)
村上 智洋 浜松医科大学, 医学部附属病院, 診療助教 (60897510)
坊岡 英祐 浜松医科大学, 医学部附属病院, 診療助教 (30626718)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 血中循環腫瘍細胞 / 定量位相顕微鏡 / フローサイトメーター / 人工知能 |
Outline of Annual Research Achievements |
血中循環腫瘍細胞(CTC)は、腫瘍から遊離し血中へ浸潤した癌細胞で転移に関わるとされるが、末梢血液中の有核細胞100万個当たり1個以下の割合しか存在せず、その検出や分取が困難であることが臨床普及の障壁となっている。また、上皮間葉転換を起こした悪性度の高いCTC集団は、上皮系マーカーに基づく従来の手法では検出できない。一方、末梢血液中を循環する有核細胞の殆どは白血球であるため、有核細胞から白血球を除去(negative selection)することで幅広くCTCを回収できる。本研究は、高精細な定量位相顕微鏡(QPM)技術と人工知能(AI)を用いた画像診断技術を応用し、細胞を分取することなく画像情報のみに基づいた、細胞マーカー非依存的な全く新しいCTC検出方法の開発および臨床応用を行うことを目的とする。 2022年度は、これまでに開発を行ってきた2D,3Dハイブリッド型定量位相フローサイトメーターの試作機を完成させた。この試作機を用いて、形態学的な情報が既知であるヒト末梢血中の白血球、および数種類の培養癌細胞を繰り返し観察し、最適な細胞撮影条件を見出し、測定の安定化を図った。さらに、健常人および10名の進行消化器癌患者さんから同意を得て末梢血液を採取し、塩化アンモニウム溶血剤によって末梢血中の有核細胞を抽出し、ハイブリッド試作機による末梢血有核細胞の3D観察を行った。得られた高詳細画像をレディオミクス解析によってクラスター化し、担癌患者と健常人との間で比率の異なる細胞分画が存在することを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2D,3Dハイブリッド型定量位相フローサイトメーターの試作機は完成したが、安定して測定を行い高詳細な観察画像を迅速に取得するためには、細胞の流路内観察と機器の調整を繰り返し行う必要があった。このため、臨床検体の測定データの蓄積によるデータベース化が当初の予定より遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、進行消化器癌患者さんの末梢血中有核細胞を試作機で観察し、2D,3Dハイブリッド型定量位相フローサイトメーターの安定化を図り、今後の臨床性能試験に使用するプロトタイプ機器を完成させ、臨床性能試験に使用するアルゴリズム(識別器)を確立する。また、同時に臨床検体の測定データを蓄積しデータベース化を図る。さらに、3D QPM観察による高精細な細胞画像に基づいて、AIの教師なし学習機能を用いてCTC候補細胞の細分化を図る。
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