2022 Fiscal Year Annual Research Report
hiPSC Derived Mesenchymal stem cells Tissue Enhance Therapeutic Effects of Cardiomyocytes and MSC Tissue Transplantation in Myocardial Infarction Model
Project/Area Number |
22H03157
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
劉 莉 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任准教授 (50380093)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
李 俊君 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任助教 (10723786)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 心筋細胞 / 間葉系幹細胞 / デバイス / ファイバー / 組織構築 |
Outline of Annual Research Achievements |
重度心不全の治療法として、ヒト多能性幹細胞由来の心筋細胞(hiPSC-CMs)の移植による心機能回復が期待されている。われわれは独自に開発した3D足場デバイスを利用し、生体内の心筋構造を模倣することによって、配向かつ多層化構造を持つ心筋組織の構築に成功した。この心筋組織を用いて小・大動物の心筋梗塞モデルへ移植した結果、心機能の回復効果が認められた。最近、これまでの3D足場デバイスを改善することにより、厚み1mm以上の心筋組織を作成することに成功した。同時に回転培養システムを導入した結果、重厚心筋組織の栄養提供の問題についても大幅に解決した。 しかしながら、この重厚心筋組織を用いて心筋梗塞モデルラットに移植する際、免疫不全動物の使用並びに免疫抑制剤を投与しても、免疫拒否反応が起こしてしまい、移植された心筋細胞が攻撃され、組織は半分しか残存していないことが明らかとなった。一方、間葉系幹細胞(MSCs)は炎症、免疫拒否反応を抑制する役割と血管新生を促進機能を持つことが解明され続いている。本研究課題は移植された重厚心筋組織を自己免疫系の細胞からの攻撃回避、そして血管新生促進する目的で、MSCsの機能を生かして、工学的な手段と融合し、ヒトiPSCs由来心筋-間葉系細胞を含んだ複合体組織を構築することを目的とする。最終的には、組織工学技術を駆使した複合体高機能化心筋組織を構築し、免疫抑制剤使用せず、細胞治療の開発を目指す。 本研究課題において、まずわれわれは心筋指向性があるhiPSCs細胞を選別した。候補になるiPS細胞株を使って、心筋細胞を分化誘導した結果、効率がよく、質が高い心筋細胞を得ることができた。さらにわれわれはhiPSC由来間葉系幹細胞の代わりに、脂肪由来間葉系幹細胞を用いて、ファイバー上で播種して、組織構築を行った。その結果、脂肪由来間葉系幹細胞組織から分泌された細胞外質は非常に豊富であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一年目、我々は単一細胞の分離・培養するシステムを用いて、心筋細胞と間葉系幹細胞へ分化指向性あるiPS細胞を選別した。得られたiPS細胞株で心筋細胞へ分化誘導させた結果、分化誘導効率は80%前後になり、収縮力が強い心筋細胞を得ることができた。一方、間葉系幹細胞への分化誘導の最適方法はまだ見つからなくて、iPS細胞から誘導された間葉系幹細胞の機能性は脂肪、骨髄、臍帯由来間葉系幹細胞より低いことが明らかになった。 プロジェクトを順調に進展させるために、われわれは計画を変更して、iPS細胞由来間葉系幹細胞の代わりに脂肪由来間葉系幹細胞に変更した。骨髄、臍帯由来間葉系幹細胞と比較して、脂肪由来間葉系幹細胞の方は血管誘導因子VEGFが多いため、脂肪由来間葉系幹細胞は適切であることが確認できた。細胞とファイバーの融合性を確認した結果、脂肪由来間葉系幹細胞はファイバー上の接着性が非常によく、0.2~0.4mm厚みの間葉系幹細胞組織が自発に構築することができた。組織解析を行なった結果(免疫染色、FACS、RT-PCRなど)、間葉系細胞構築した組織から分泌された細胞外質は非常に豊富であることがわかった。 以上の結果により、iPS由来間葉系幹細胞の準備は困難であったが、脂肪由来間葉系幹細胞を切り替えたら、予想以上な結果を得ることができた。全体のプロジェクトの進行状態は遅れず、順調に進展することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
二年目に、3Dファイバーを用いて脂肪由来間葉系細胞とiPS細胞由来心筋細胞で組織構築の最適条件を見出す予定。 (1)心筋組織体の構築: 本課題一年目の成果、心筋細胞指向性があるiPS細胞で分化誘導された心筋細胞(純度80%以上)を用いて、ファイバー上に播種して、組織構築を行う。得られた心筋組織の性質評価を行う。具体的には、免疫染色、RT-PCR法にてより高い心筋関連遺伝子の発現を調べ、成人心筋組織の機能性と比較する。加えて心筋特異的な電気生理学機能や、拍動の収縮力などに関する評価を行う。 (2)間葉系細胞の組織体の構築: 前年度の成果により、脂肪由来間葉系幹細胞を用いて、3D配向性ナノファイバー上で培養し、0.2~0.4mmの厚みがある間葉系組織を構築することができた。今年度更なる重厚で且つ高機能化した間葉系幹細胞組織体を構築する条件検討を行うことにより、最適な作成条件を見出す。具体的には、免疫染色、RT-PCR法で間葉系細胞と関係する遺伝子やタンパク質の発現レベルを調べる。また、組織から分泌された炎症関連因子を調べる。 (3) CM組織とMSC組織を別々構築して重なる方法、そして、2種類細胞をミックスしてから組織を作製する方法を同時に検討する。(1), (2)の方法で構築した組織と細胞の生存率、組織化、分泌された因子などを比較して、最適化した組織構築方法を選別する。
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Research Products
(2 results)