2023 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトiPS細胞由来マイクロ心臓組織による新規心臓再生治療法の開発
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22H03161
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
升本 英利 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 上級研究員 (70645754)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川東 正英 京都大学, 医学研究科, 助教 (00837700)
湊谷 謙司 京都大学, 医学研究科, 教授 (20393241)
村田 梢 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 研究員 (80884329)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | iPS細胞 / 心臓再生医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、心不全に対する新たな心臓再生医療として、ヒトiPS細胞から作製した新しいコンセプトの細胞加工物であるマイクロ心臓組織の有効性・安全性に関する前臨床的検討を行うことで臨床応用に向けた基礎的知見を得ることである。本年度は、以下の項目において研究開発を進めた。 1.ヒトiPS細胞由来マイクロ心臓組織の作製および品質管理法の確立:昨年度までに、動的流水培養による内部血管構造形成を伴うマイクロ心臓組織の作製プロトコルを確立した。本年度は画像解析等の手法を用いることで、拍動能力を含む組織機能の改善についての評価を実施した。汎用されている画像解析システムであるMUSCLEMOTIONを使用して拍動機能を解析したところ、動的培養により血管化した組織において有意に拍動機能が改善していることが確認された。 2.臨床使用に資するマイクロ心臓組織の開発:昨年度までに、上記マイクロ心臓組織を、京都大学iPS細胞研究所から提供されている臨床グレードの健常ヒトiPS細胞を用いて作成する条件を確立した。本年度は今後の広い臨床応用に向けて、新たに京都大学から配布が開始された、既存株と異なる健常人ドナー由来の臨床グレードiPS細胞株での検証のため、所属機関における倫理審査を含む細胞の受け入れおよび培養実験実施のための準備を進めた。 3.マイクロ心臓組織の心疾患動物モデルにおける治療効果の検討:上記1.にて開発した血管化マイクロ心臓組織を免疫不全ラット心筋梗塞モデルに移植し、その治療効果を検討した。移植後4週後の心臓MRIにおいて、移植群で非移植群あるいは動的培養不実施組織移植群と比較して有意に心機能の回復を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度において、これまでに本課題において確立したマイクロ心臓組織の心疾患動物モデルへの移植を実施し、その治療効果について確認することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はこれまでに確立したマイクロ心臓組織作製法をさらに応用し、物理的トレーニングを含む成熟化を加えることで、さらに組織機能を向上させたマイクロ組織作製法を確立する。また、新たに入手する予定の臨床グレードiPS細胞を用いた検証を実施する。さらに、動物モデルへの移植による治療効果についてのメカニズム解析を実施するとともに、腫瘍形成などの安全性についても併せて評価する。
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Research Products
(5 results)