2023 Fiscal Year Annual Research Report
Manipulating Descending Pain Suppression Systems Using Chemogenetics to Find Seeds for Chronic Pain Treatment
Project/Area Number |
22H03167
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
紙谷 義孝 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 教授 (90381491)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 美佳 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 特任講師 (20774061)
倉部 美起 新潟大学, 医歯学系, 助教 (30635579)
上野 将紀 新潟大学, 脳研究所, 教授 (40435631)
大西 毅 新潟大学, 医歯学総合病院, 特任講師 (60804573)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | 慢性疼痛 / 下行性疼痛抑制系 / フラビン蛋白蛍光イメージング法 / in vivo電気生理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では難治性疼痛の際に下行性疼痛抑制系機能がどのように変化しているのか、大脳皮質に焦点を当てて明らかにすることを目標としている。手始めとして、神経障害性疼痛モデルマウスを用いて脊髄及び大脳皮質一次知覚野における刺激に対する神経興奮をフラビン蛋白蛍光イメージング法を用いて測定した。総腓骨神経・脛骨神経を切離することにより作成したSNIモデルマウスにおいて、痛覚過敏性は術後4日目以降28日目まで同じレベルで推移したが、大脳皮質一次知覚野における刺激に対する神経活動は経時的に増大していた。一方で脊髄後角における刺激に対する神経活動は経時的にみると徐々に低下する傾向が見られた。さらに、in vivo標本を用いて脊髄後角における単一ニューロンの刺激に対する反応性をみたところ、これまでの報告同様、SNIモデルマウスにおいては刺激に対する単一ニューロンの興奮性が増大していることが明らかになった。これは脊髄におけるフラビン蛋白蛍光イメージング法の結果と一見矛盾するため、大脳皮質及び脊髄後角における免疫染色で神経細胞の数に変化があるかを確認したところ、脊髄・大脳皮質双方で神経細胞の減少は見られておらず、脊髄後角においてはPax2陽性抑制性介在ニューロンの数が減少していなかったことから、神経障害性疼痛モデルマウスの脊髄における刺激に対する反応性の変化は、脊髄後角に投射する知覚神経線維が神経障害によって少なくなることによるものだと考えられ、一方大脳皮質における反応性の増強は脊髄後角における後シナプス細胞の興奮性の増大によって生じることが示唆された。これはつまり下行性疼痛抑制系といった直接痛覚を伝達する神経系以外の経路による抑制が減弱していることを示唆している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究課題が採択された直後に研究代表者の異動があり、実験機器のセットアップを含め実験環境の構築に時間を要した。また、当該施設では遺伝子組換え実験の経験がなく、施設使用許可の取得にも時間がかかったため、研究を再開するのに多大な時間を要した。
|
Strategy for Future Research Activity |
化学遺伝学受容体を導入するためのアデノ随伴ベクターはすでに研究分担者により作成済みであるため遺伝子導入を行い、遺伝子発現の状況を免疫組織学的手法を用いて確認する。その後化学受容体の活性化を介してモデルマウスにおける疼痛行動及び脊髄・大脳皮質における神経活動の変化をフラビン蛋白蛍光イメージング法により明らかにする。同時に下行性疼痛抑制系の神経伝達物質であるセロトニン・ノルアドレナリンを神経毒を用いてそれぞれ枯渇させることによって、脊髄及び大脳皮質における神経活動にどのような変化が生じるのかを並行して観察する。
|