2022 Fiscal Year Annual Research Report
身体不活動による骨量低下の分子機序解明と骨量低下抑制法の確立
Project/Area Number |
22H03208
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | National Rehabilitation Center for Persons with Disabilities |
Principal Investigator |
篠原 正浩 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所 運動機能系障害研究部, 研究室長 (60345733)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中浜 健一 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 准教授 (60281515)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 不動性骨粗鬆症 / 骨細胞 / メカニカルストレス / 破骨細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
障害により身体不活動の状態が継続すると不動性骨粗鬆症を発症する。骨組織に対するメカニカルストレスの減弱が原因であるが、その分子メカニズムは必ずしも解明されているとはいえず、発症メカニズムに立脚した根本的な治療法は確立されていない。応募者のグループは不動性骨粗鬆症の研究を進めるため、迅速かつ簡便な不動性骨粗鬆症マウスモデルを確立した。このモデルマウスの経時的解析から、骨量は不動化4日目で有意に低下すること、骨芽細胞による骨形成の低下は不動化24時間後から始まることを明らかにした。本研究ではこれまで得られた独自の知見を発展させ、1)不動性骨粗鬆症の病態に特徴的な発現変動を示す遺伝子の機能解明、2)不動性骨粗鬆症の発症時の初期応答メカニズムの解明、3)不動性骨粗鬆症の発症予防法の開発、の3つの研究を軸とし、不動性骨粗鬆症の病態理解を深め、新たな不動性骨粗鬆症の改善方法を確立する。 今年度は1)に関して、骨組織のメカニカルセンサー細胞である骨細胞に特異的にCreERT2を発現するマウスおよび不動性骨粗鬆症の病態に特徴的な発現変動を示す遺伝子のfloxマウスの新規作出を行い、それらマウスの交配により骨細胞に特異的に不動性骨粗鬆症の病態に特徴的な発現変動を示す遺伝子の欠損マウスを作製した。また、2)については不動化24時間後の骨組織におけるRNAseq解析を実施し、不動性骨粗鬆症発症時の初期応答遺伝子の同定に成功した。一方、3)に関しては、当初の不動化直後の血中マーカーーの変動から骨形成の低下が予想されたため骨形成促進薬を用いた検討を行う予定だったが、その後の詳細な組織学的解析から破骨細胞による骨吸収促進が原因であることが判明したため、破骨細胞を標的とする治療法の検討を行うこととした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、初年度に骨細胞に特異的に不動性骨粗鬆症の病態に特徴的な発現変動を示す遺伝子の欠損マウスを作製することができ、またRNAseq解析により不動介入直後の初期応答遺伝子の同定に成功した。不動性骨粗鬆症の発症予防法の開発に関しては、当初の計画として骨形成促進薬による予防を想定していたものの、その後の解析により破骨細胞を標的とすることが適切であることが判明したことから計画変更が必要となった。しかし、破骨細胞を標的とする介入法による実験の準備を進めており、2年次に結果を得ることが可能な状況である。 以上の進捗状況から、概ね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
1)不動性骨粗鬆症の病態に特徴的な発現変動を示す遺伝子の機能解明では、骨細胞特異的にCreERT2を発現するマウスにおいて、CreERT2発現の組織特異性の検証および新規作出したfloxマウスの遺伝子欠損効率などについて検証を行い、不動性骨粗鬆症の病態に特徴的な発現変動を示す遺伝子の欠損マウスの骨組織の表現型を解析する。2)不動性骨粗鬆症の発症時の初期応答メカニズムの解明では、同定した初期応答遺伝子の機能についてin vitro培養細胞系による実験により解析を行う。特に今年度は人為的な遺伝子強制発現や遺伝子発現抑制実験を通して骨細胞のマーカー遺伝子の発現に及ぼす影響を検証する。3)不動性骨粗鬆症の発症予防法の開発では、破骨細胞の細胞分化や骨吸収能を抑制する抗RANKL抗体を不動化マウスに対して投与し、不同性骨粗鬆症の抑制効果について検証を行う。
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