2022 Fiscal Year Annual Research Report
Failure of autophagy for the therapeutic target of preeclampsia
Project/Area Number |
22H03223
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
中島 彰俊 富山大学, 学術研究部医学系, 教授 (00436792)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島 友子 富山大学, 学術研究部医学系, 助教 (00377285)
小池 誠一 富山大学, 学術研究部工学系, 特命助教 (10431686)
津田 さやか 富山大学, 学術研究部医学系, 助教 (60839075)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | オートファジー / 妊娠高血圧症候群 / 胎盤形成不全 / リソソーム傷害 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は胎盤細胞の分化におけるAutophagy(AtP)およびTFEBの影響を最初に検討した.胎盤機能の根幹となるシンシチウム化においてAtP活性が低下することを明らかとした(The Autophagy-Lysosomal Machinery Enhances Cytotrophoblast-Syncytiotrophoblast Fusion Process. Furuta A. et al. Reprod Med. 2022).その中で,TFEB発現は分化と共に低下すること,Lysosomeを特異的に障害する薬剤も分化抑制に働くことから、Lysosome抑制剤(AtP抑制剤)であるバフィロマイシン(BAF)は胎盤分化を負に制御することが明らかとなった. さらに,SLEやRA合併妊婦ではAtP抑制剤であるクロロキン(CQ)を症状軽減に使用するが,妊娠高血圧症候群の発症増加はRAでは認めない.そこで,上述のBAFとCQによるAtP抑制能と酸化ストレスとの関係を検討した.その結果,BAFはAtP抑制と共にNBR1発現を低下させ,抗酸化ストレス酵素の増加を抑制するが,CQはNBR1発現には影響しないため抗酸化ストレス作用が維持された(Chloroquine is a safe autophagy inhibitor for sustaining the expression of antioxidant enzymes in trophoblasts. Furuta A, et al.J Reprod Immunol. 2023).更に,胎盤に対するAtP抑制能もBAFに比しマイルドであり,CQはBAFに比しLysosome自体の機能への影響も少なく妊娠中の使用がより安全であることが分かった.以上より,本年度はTFEBにより制御されるLysosomeが、胎盤形成中・形成後の絨毛細胞機能に重要であることを明らかとした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述のごとく、TFEBに関連しリソソーム障害と胎盤機能の関係が明らかとなっているため、“2)おおむね順調に進展している。”と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は卵子における妊娠高血圧症候群発症リスクとの関係をより明らかにしていく。これまで、共同研究者の小池らの検討により、妊娠高血圧症候群の発症リスクとされる“加齢”に注目し、若年・老年卵子の比較により特定の細胞小器官に変化を認めることが明らかとなった。我々は、より非侵襲的な方法での診断法の確立を目指しており、卵子老化の診断法と検出法開発を進めて行く。最終的には、その診断法と妊娠高血圧症候群の発症の関与を検討していくこととなる。 胎盤形成改善への薬剤開発に関しては、NBR1およびTFEB活性化を促す薬剤の検討を本年度は行っていく。活性化能をもつ薬剤は見つけており、その派生物質によりより毒性が低く、オートファジー活性化能が高まるかの検証を行っている。その検証で陽性の結果が得らればれ、詳細なメカニズムや組織培養における影響など臨床応用の可能性を検証していく。 更に、ATG4Bに関しては、胎盤における異常蛋白集積に関与することが分かってきており、そのin vitro実験系の開発(最終的検証中)及び共同研究により蓄積を軽減する可能性のある化合物の検証を準備しており、本年度はこの点を明らかにしていく。 以上より、本年度は治療薬開発に繋がる薬剤の効果を検証していくことが主たる検討となる。
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