2022 Fiscal Year Annual Research Report
The study using chemical genetics to reveal regulation mechanisms of insulocortical hyperactivities in the neuropathic pain model
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22H03257
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
小林 真之 日本大学, 歯学部, 教授 (00300830)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 智史 日本大学, 歯学部, 教授 (00386096)
山本 清文 日本大学, 歯学部, 講師 (30609764)
中谷 有香 日本大学, 歯学部, 助教 (60781391)
加藤 成樹 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (90443879)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ケミカルジェネティクス / 島皮質 / Parvalbumin陽性ニューロン / 痛覚 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度は,アデノ随伴ウイルスベクターを用いて,島皮質の主要な抑制性ニューロンであるparvalbumin陽性ニューロンに対して特異的にムスカリン3型デザイナー受容体を発現させることに取り組んだ。 福島医科大学の小林和人教授から供与されたLE-Tg(Pvalb-cre)2Kobaラットの島皮質にAAV-Flox-hM3D-mCherryを注入し,免疫組織化学的にparvalbumin陽性ニューロン特異的にAAVが感染しているか検証した。当初,AAV5-Flox-hM3D-mCherry(AAV-hM3D)を用いて実験を行った結果,parvalbumin陽性ニューロンのみならず,錐体ニューロンと考えられる細胞にも感染していることが明らかとなった。そこでAAVのセロタイプを変更して検証した結果,AAV2が感染効率および感染特異性も高い最適なセロタイプであることが明らかとなった。この結果に基づき,以降の実験について,ベクターにはAAV2-Flox-hM3D-mCherry(AAV2-hM3D)を用いることとした。 次に,AAV-hM3D注入後3週後に島皮質スライス標本を作製し,mCherryで標識された細胞からホールセル・パッチクランプ記録を行った。その結果,mCherry陽性ニューロンは,脱分極通電によって活動電位の持続時間が極めて短く,50-100 Hz以上の高頻度の連続発火を示した。したがって,mCherry陽性ニューロンは,いわゆるfast-spikingニューロンであると考えられた。したがって,電気生理学的にも,LE-Tg(Pvalb-cre)2KobaラットにAAV2-hM3Dを注入することによって,parvalbumin陽性ニューロン特異的にヒトムスカリン3型デザイナー受容体を発現させることが可能であることを明らかに出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
校舎移転に伴い,動物飼育施設および動物実験室が令和4年度4月まで閉鎖されたため,実験動物の繁殖が初夏までずれ込んだ結果,特にin vitro実験が計画通りには遂行できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
第一に,parvalbumin陽性ニューロンと錐体ニューロン間に生じる単一抑制性シナプス後電流(uIPSCs)を記録し, parvalbumin陽性ニューロンから錐体ニューロンへのシナプス伝達について,CNOの灌流投与による変化,すなわち,parvalbumin陽性ニューロンの自発発火とそれに伴うuIPSCsの発生頻度及び振幅を解析する。CNOの投与濃度や投与時間を変化させてuIPSCsの長期増強が生じるメカニズムについて電気生理学的,薬理学的に解析する。さらに用量反応曲線を求め,CNO持続投与の至適濃度を決定する。 第二に,ケミカルジェネティクスによる島皮質局所神経回路の可塑的変化の解明を目標とした実験に取り組む。具体的には,CNO持続投与1-2週後に,島皮質スライス標本にケージド・グルタミン酸投与法と多チャンネルパッチクランプ法を適用する。CNO持続投与群と対照群におけるシナプス伝達特性の違いを検討し,ケミカルジェネティクスの神経回路組換えに対する効果を明らかにする。 第三として,痛み回避行動に対するケミカルジェネティクスの行動薬理学的検証を行う。覚醒ラットの808 nmレーザー光を髭部に照射して熱刺激を与えると,痛みから逃げようと四肢でディスクを回転させる。その際の回転速度を計測して痛みの程度を定量化する。また,3方向から暗視野カメラで顔面を撮影し,眼球の露出度や顔面ひっかき行動についても定量化する。CNO投与によって島皮質のparvalbumin陽性ニューロンを選択的に活性化し,逃避行動に対する影響を解析する。
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