2022 Fiscal Year Annual Research Report
RNAサーモセンサーとタンパク質重合体を介するレンサ球菌感染機構の探索
Project/Area Number |
22H03263
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
中田 匡宣 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 教授 (90444497)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大貝 悠一 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 講師 (40511259)
松本 愛理 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 助教 (00962424)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | レンサ球菌 / 線毛 |
Outline of Annual Research Achievements |
病原細菌の多くは,環境を感知することにより,宿主に付着し,付着部位での増殖と免疫回避とともに,全身へ伝播し,感染症を惹き起こす.感染部位での宿主体液による物理的な洗浄や宿主・細菌細胞間の電荷による反発は菌体の付着を阻むため,病原細菌には,宿主分子を介する付着機構や宿主細胞との距離を補い付着する機構が存在する.距離を補い付着する機構として線毛を付着因子とするものがある.グラム陽性病原細菌が産生する線毛は,複数のサブユニットが共有結合で連結するタンパク質重合体である.細胞の表層から距離をとって配置される線毛チップサブユニットは宿主への付着因子として機能する.口腔内で最も優勢なレンサ球菌の一種である Streptococcus sanguinis は口腔内では常在細菌として生息するが,感染性心内膜炎の起因菌となる病原性共生細菌の一種である.一方,化膿レンサ球菌は主に口腔を含む上気道と皮膚に化膿性炎症を惹起する.両菌種が産生する線毛はタンパク質重合体であり,宿主や細菌間の相互作用に寄与すると考えられている.未だ全貌が明らかではない線毛の組立て機構と機能,ならびに線毛を介する細菌と宿主の相互作用の解明を目的として,両菌種の線毛関連遺伝子の欠失株と組換えタンパク質を作製した.また,S. sanguinis の線毛については,チップサブユニットを明らかにした.さらに,化膿レンサ球菌において,生息部位あるいは感染部位から体内深部へ感染を拡大させる過程で生じる環境温度の変遷にともない発現量が変化する細菌因子を探索し,病原性に関わる表現型との関連を検討した.今後,超高齢社会での増加が懸念されるレンサ球菌感染症に対して,感染制御の基盤となる基礎データを蓄積する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
線毛関連遺伝子の欠失株と組換えタンパク質を作製し,線毛の組立て機構と機能の解析を主に行っている.これまでに,S. sanguinis の線毛チップサブユニットを明らかにしたため,課題は概ね順調に進展していると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
線毛チップサブユニットを介する分子間相互作用の探索を行うとともに,線毛関連遺伝子の欠失株を用いて,線毛組立て機構を解析する.また,温度変遷により発現量が変化する細菌因子が病原性に関与するかについて検討する.
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Research Products
(10 results)