2022 Fiscal Year Annual Research Report
エフェロサイトーシスを基軸とした歯周組織恒常性維持機構の解明と治療への応用
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22H03265
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
梶川 哲宏 東北大学, 大学病院, 講師 (90611252)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 茂樹 東北大学, 大学病院, 講師 (30549762)
山田 聡 東北大学, 歯学研究科, 教授 (40359849)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | エフェロサイトーシス / 好中球 / マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
エフェロサイトーシスは従来生体内から不要産物を除去する単なるプロセスである考えられていたが、全身組織においては様々な作用を持つことが報告されている。例えば、大腸においては大腸炎の発症の予防に重要な役割を担うが、一方で腫瘍細胞の増殖を促進し症状悪化につながる。しかしながら、歯周組織におけるエフェロサイトーシスの役割はいまだ不明である。 これまでの研究成果として、まずはじめに蛍光免疫染色やファゴソーム内で蛍光シグナルが生成されるシステムを利用したフローサイトメトリー解析を用いることで、歯周組織においてエフェロサイトーシスが活発に生じていることを示した。 次に、絹糸結紮歯周炎モデルを使用することで誘導された炎症歯周組織から、セルソーターを用いて歯周組織マクロファージを単離し、リアルタイムPCR法により遺伝子発現のフェノタイプを調べた。その結果、興味深いことに、炎症歯周組織マクロファージにおいては、Mertk, Abca1といったエフェロサイトーシス関連シグナル遺伝子の発現が上昇していた。 また、同様の方法で得られた歯周組織において、M2マクロファージ数の有意な増加を認めたことから、炎症歯周組織において、エフェロサイトーシスが炎症制御の役割を担っていることが示唆された。 このことをin vivoにおいて実証するために、コンディショナルノックアウトマウスを用いた実験を計画し、凍結胚の輸入、続けて個体化復元を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コンディショナルノックアウトマウスの導入時期に関して、動物飼育施設改修工事の影響も重なり、当初の予定より遅延が生じた。現在、同マウスの導入は完了しており、実験を行うために十分な数のマウスを確保するため、マウスの繁殖作業に取り組んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
コンディショナルノックアウトマウスを繁殖させ、コントロールマウスと共に、絹糸結紮歯周炎モデルや歯周組織再生モデルを適用し、歯周組織におけるエフェロサイトーシスの機能評価を行う。 また、エフェロサイトーシス関連シグナルを活性化するアゴニストの効果を調べることで、歯周病新規治療法の開発の可能性について模索する。
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