2022 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of Oral Tissue Repair and Regeneration Mechanisms by DEL-1
Project/Area Number |
22H03267
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
前川 知樹 新潟大学, 医歯学系, 研究教授 (50625168)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土門 久哲 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (00594350)
多部田 康一 新潟大学, 医歯学系, 教授 (20401763)
寺尾 豊 新潟大学, 医歯学系, 教授 (50397717)
高橋 直紀 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (80722842)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 骨再生 / 骨免疫 / 骨代謝 / 歯周炎 / 組織修復 / 老化 / 口腔幹細胞 / 幹細胞ニッチ |
Outline of Annual Research Achievements |
消化管の最前線である口腔は,歯や骨といった硬組織,さらに粘膜組織,口腔腺によって構成されるユニークな湿潤環境下にあり,外的刺激および口腔内細菌群の刺激に晒されている.一つの完結された臓器(口腔臓器)であり,構成組織が協調して機能している.口腔は栄養摂取に伴う食物粉砕過程で,口腔粘膜の損傷を受けやすいという特徴をもつが,皮膚や腸管などのバリア組織と比較して,迅速かつ瘢痕を伴わない創傷治癒能力をもつ.しかしながら,口腔粘膜の優れた治癒および環境への適応能力は加齢とともに低下し,歯を支える周囲組織の炎症・歯周炎による歯の脱落や口腔癌等の発症を伴う. 申請者は,口腔が特異的にもつこれらの粘膜修復および機能維持にDEL-1が必須の役割を担うことを明らかにしてきた.しかし,DEL-1の作用を解析する上で,口腔は複雑な細菌叢や多種の細胞・組織から構成されており,未同定な細胞の存在も示唆されていることから,DEL-1の標的は口腔組織を構成する多様な細胞種に及ぶことが考えられ,解析に困難が予測される.これまでの口腔医学は,横断的な研究が主であり,一つの完結した臓器として口腔が捉えられていなかったため,口腔局所で得られた結果は口腔だけに適応するものになっていた.口腔を臓器として捉える本申請研究によって,口腔粘膜バリア破綻や修復エラーが起因となる疾患の病態理解と,予防・治療法の確立に繋がるのみならず,DEL-1の機能を生かした骨再生医療への展開が可能となる.そこで本年度は,DEL-1による組織修復促進機構の解明および空間的遺伝子発現解析およびシングルセル解析をもちいた口腔組織における細胞間ネットワーク解明による口腔組織幹細胞の候補探索およびDEL-1が組織修復に与える影響解析をおこなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度(2022年度)は,DEL-1による組織修復促進機構の解明および空間的遺伝子発現解析およびシングルセル解析をもちいた口腔組織における細胞間ネットワーク解明をおこなった. DEL-1が組織修復に与える影響解析では,若齢および老齢マウスの歯周炎,肺炎およびリウマチ関節炎モデルを用い,病変組織のシングルセル解析を行った.それにより,DEL-1高発現細胞を同定し,機能解析を行うことで,臓器特異的なDEL-1産生機構を見出した. 続いて,口腔組織幹細胞の候補探索をおこなった.得られたデータを使用し,Seuratを用いた解析を行い,UMAP解析によりクラスターを作成し,口腔組織幹細胞の候補を探索した.他のバリア部位の幹細胞と遺伝子発現を比較し,口腔組織幹細胞に特異的な遺伝子見出すことに成功した. 続いてDEL-1のドメインごとの機能解析をおこなった.DEL-1はRGDモチーフを含むEGF様ドメインとディスコイジンドメインから構成されている.そこで野生型,DEL-1欠損,DEL-1のドメイン欠損型のマウスモデル(DEL-1RGE/RGE)を使用した疾患モデルから得られた組織に対し空間的遺伝子発現解析を行い,組織間での遺伝子発現ネットワークを探索した.同時に,シングルセル解析を行うことにより,DEL-1が組織修復機構に関わる分子ネットワークに与える影響を網羅的に解析することが可能となった.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に構築した口腔組織細胞アトラスを使用し,当該遺伝子に関して,ノックアウトマウス,floxマウスなど遺伝子改変マウスを樹立し,loss-of-function実験による機能解析をおこなう.さらに,当該遺伝子を歯周組織に導入するgain-of-function実験によって,歯周組織の創傷治癒を促進する新たな治療法開発への展開を目指す. 続いて,DEL-1の自律的誘導法による組織修復と再生を目指した治療法の創出を行う.これまでに代表者は,マクロライド系抗菌薬がDEL-1産生を誘導していることを報告してきた(JCI Insight, 2020,Antibiotics, 2021. および骨組織及び肺組織の再生剤、並びに、骨組織及び肺組織の再生用医薬組成物として特許出願中).そこで本研究では,抗菌作用が無いため耐性菌を生じにくく,免疫調整作用(過度な免疫応答を抑制する一方で,免疫低下時に同応答を回復させる)を有するマクロライド改変体ライブラリーからDEL-1を強力に誘導する改変体を選定する.
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