2023 Fiscal Year Annual Research Report
間葉系幹細胞エクソソームによる創傷治癒・抗炎症作用メカニズムの解析
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22H03273
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
岩田 隆紀 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (60431946)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸川 恵理子 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (40419263)
朴 聖俊 東京大学, 医科学研究所, 准教授 (40759411)
水谷 幸嗣 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (60451910)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | エクソソーム / miRNA / 再生医療 / 創傷治癒 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度においては、昨年度確立したエクソソームの単離方法を基に、その保存方法の最適化を追加で行った。そして先行研究にて骨誘導能が比較的高いことが判明しているヒト歯根膜幹細胞株(P034)から得られたエクソソームを精製し、ヒト歯根膜幹細胞に対する効果を検証したところ、抗炎症能は見られなかったが、顕著な骨誘導能と創傷治癒能の促進は確認できた。 エクソソーム内で上記効能を有しているmiRNAを見出すため、昨年度より計画していたマイクロアレイを用い、P304と骨誘導能が低いヒト歯根膜幹細胞株(P309)のエクソソーム内miRNAを比較しプロファイリングを行ったところ、20の候補miRNAを特定した。文献報告に基づき、さらに8つへ絞り込んだ後、mimicを用いた過剰発現と阻害剤を用いた発現抑制でそれらの検証を行った際には、エクソソームの直接添加と類似した表現型を有するmiRNAの特定に成功した。 また、特定したmiRNAのターゲットmRNAを見つけるため、既存のデータベース(miRbase等)による予測を試みたが、依然候補が多くルシフェラーゼアッセイなどでは手間がかかるため、RIP-Seq(RNA immunoprecipitation sequence)による確認を考案した。この手法により、mimicによる過剰発現を行った後、miRNAとmRNAが結合状態にあるRISC(RNA-induced silencing complex)を免疫沈降することで、結合しているmRNAを回収し、予測ではなく、直接的にmiRNAの結合対象を見つけることが可能になる。2023年度末の時点において、その条件検討の最適化が完了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度でエクソソームの骨誘導能と創傷治癒能を確認できた上に、寄与しているmiRNAも特定できたので、昨年度の客観的条件による遅れを取り戻せたと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
エクソソームの効用の確認と、寄与しているmiRNAの特定は完了しており、miRNAの作用対象を特定する方法も最適化済みである。次年度は作用対象であるmRNAを特定した後、初歩的にヒト歯根膜細胞由来のエクソソームが歯周組織再生に寄与するメカニズムを明確にし、その結果に連なる創薬関連の特許申請も視野に入れている。また、miRNAの絞り込み過程で異なる効能を有するmiRNAも発見したため、余裕がある場合は、それらの関連性や、選択的にエクソソームへローディングされる上流的なメカニズムも検討する予定である。
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