2022 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of the regulatory mechmisum of odontoblast differentiation by singl cell analysis and its application to therapeutics
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22H03280
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
大野 充昭 岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (60613156)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
窪木 拓男 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (00225195)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 象牙芽細胞 / 1細胞解析 / 転写因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,歯科界において必須の情報でありながら未解決である象牙芽細胞マスター遺伝子の同定,さらにはダイレクトリプログラミングによる象牙芽細胞分化誘導法を確立する.具体的には,位置情報を付加した1細胞レベルでの解析に加えて,細胞分化の時間軸を加味した分化経 路推定解析を駆使し,候補転写因子群の抽出を行う.そして,iPS細胞樹立技術を逆手に取ったマスター遺伝子同定法を駆使して象牙芽細胞分化のマスター遺伝子を同定し,同定したマスター遺伝子や誘導した象牙芽細胞を利用して,象牙質再生療法の基盤技術を確立する事を目的としている. 2022年度に,生後5~7日齢のCol1a1-GFPマウスの歯胚を摘出後,酵素処理により細胞の単一化を行った.GFP陽性象牙芽細胞およびGFP陽性骨芽 細胞が含まれる CD45 (白血球),Ter119 (赤血球),CD31 (血管内皮細胞)陰性分画に存在する細胞をセルソーターにて分離し,約5000個の単一細胞を得て,シングル解析システム (10x chromium)にてscRNA-seq解析を実施した.そして,細胞のアノテーションを行い,間葉系幹細胞が象牙芽細胞へと分化する過程を,velocity解析およびtrajectory解析を駆使し,解析した.その結果,歯胚に存在するMki67陽性の細胞増殖能が高い間葉系幹細胞を同定することができた.また,この細胞が,全象牙細胞から象牙芽細胞へと分化する過程を明らかにすることができた. 今後,本結果から抽出された遺伝子に対し,機能解析を行う予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1細胞解析を行い,象牙芽細胞および骨芽細胞分化に関わる分化過程を予測することができ,象牙芽細胞分化時に特異的に発現してくる遺伝子を抽出することに成功しており,概ね順調に研究が進展していると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,spatial RNA-seqによる空間的遺伝子発現解析を行うため,生後5~7日齢のマウス下顎骨を摘出し,PFA固定・脱灰後,メッシュ状 に位置情報となるインデックス配列が付加されたスライドガラス (Visiu m for FFPE)にパラフィン切片を貼り付け,HE染色を行い,組織学的 情報を取得する.そして,各標的遺伝子特異的なプローブを組織に加え,組織上のRNAにハイブリダイズする.透過処理により,細胞からライゲ ーション済みプローブペアを遊離させ,スライドガラス上に存在する空間的バーコードが付加されたオリゴヌクレオチドに結合させる.ライブ ラリー作製後にシークエンスを行い,インデックス情報から,二次元空間での遺伝子発現情報を構築し,遺伝子発現マップを構築する. そして,2022年度に取得したデータと統合し,象牙芽細胞分化に重要な遺伝子の抽出を行う.
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