2024 Fiscal Year Research-status Report
口腔癌遠隔転移に関与する循環腫瘍細胞および循環腫瘍DNAの多施設共同研究
| Project/Area Number |
23K24550
|
| Allocation Type | Multi-year Fund |
| Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
柳本 惣市 広島大学, 医系科学研究科(歯), 教授 (10315260)
|
| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山川 延宏 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (00526709)
本田 一文 日本医科大学, 大学院医学研究科, 大学院教授 (10260936)
栗田 浩 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (10273103)
大倉 正也 大阪大学, 大学院歯学研究科, 招へい教員 (10281130)
山田 慎一 富山大学, 学術研究部医学系, 教授 (50380853)
長谷川 巧実 神戸大学, 医学研究科, 准教授 (50546497)
太田 嘉英 東海大学, 医学部, 教授 (60233152)
上田 倫弘 独立行政法人国立病院機構北海道がんセンター(臨床研究部), 臨床研究部, 口腔腫瘍外科医長 (80839910)
|
| Project Period (FY) |
2024-04-01 – 2026-03-31
|
| Keywords | 循環腫瘍細胞 / 血中遊離DNA / 口腔扁平上皮癌 / 遠隔転移 |
| Outline of Annual Research Achievements |
口腔扁平上皮癌(oral squamous cell carcinoma: OSCC)は、局所頸部制御が良好であっても遠隔転移により予後不良となることが多い。近年、循環腫瘍細胞(Circulating tumor cells: CTC)および血中遊離DNA(cell-free DNA: cfDNA)は、乳癌や大腸癌などの固形腫瘍における治療効果や予後予測のバイオマーカーとして注目されているが、OSCCにおける役割はまだ明確になっていない。 2022年~2023年にOSCCの確定診断を受け手術療法を施行された13名の患者を対象に実施した。術前および術後に末梢血を8mlずつ採取し、CTC数およびcfDNA量・フラグメントサイズの測定、cfDNAの変異解析を行なった。CTCは微小流路デバイス法を用いて捕捉し、蛍光免疫染色(EpCAM、PD-L1およびDAPI)後に同定した。cfDNAは磁気ビーズ法を用いて血漿から抽出し測定を行った。さらに、抽出したcfDNAにおいて、Next generation sequencing(NGS)解析を行なった。得られた計測結果と遠隔転移の有無との関連性について解析を行った。また、cfDNAと各種Inflammation based prognostic score(IBPS)との比較検討も行った。 対象とした全てのOSCC患者においてCTCを検出することに成功した。CTC数と遠隔転移率には有意な相関は認めなかったが、CTCが複数個集合して形成されたクラスターを検出した場合には、遠隔転移率が増加することが示された。また、遠隔転移群においては、cfDNA量が非遠隔転移群よりも有意に高いこと、フラグメントサイズが短縮傾向にあることが示された。また、NGSの結果、15遺伝子に変異が検出された。またIBPSは、cfDNAと負の相関があることが示された。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究体制および新調状況の情報共有のため、プログレスミーティングを定期的に行っている。対象とした全てのOSCC患者においてCTCを検出することに成功したことにより、効率的にデータ収取ができた。その一方で、多施設でのサンプル収集に差が生じたが、大規模なレジストリーに参加することで、解決を図っている。
|
| Strategy for Future Research Activity |
CTCクラスターは乳癌、大腸癌、肺癌、前立腺癌などの固形腫瘍で予後不良因子とする報告があり、OSCCでも同様の結果が示された。CTCクラスターは単一のCTCに比べて大きく、ゆっくりと移動し内皮に接近するため血管外への遊出が可能になり、遠隔転移が成立すると考えられている。cfDNAは、循環腫瘍DNAと異なり非腫瘍細胞から遊離されたDNAも含んでいるが、腫瘍細胞から遊離されるDNAには変異が含まれる場合や、短縮傾向にあることが、既に肺がんや悪性黒色腫の研究から示されている。本研究で得られた結果においても、遠隔転移群においてはcfDNAの中の循環腫瘍DNAの割合が上昇し、フラグメントサイズの短縮傾向を示したものと考えられた。本研究結果から、CTCクラスターとcfDNA量やフラグメントサイズが、OSCC患者の遠隔転移リスクを評価する上で有用であることが示唆された。今後、データの蓄積により、OSCC患者における遠隔転移高リスク群や遠隔転移を早期検出することが可能となれば、OSCC患者の予後改善に貢献する研究になると期待される。 具体的には、CTCのシングルセルRNAシーケンス解析を行う予定である。単一細胞レベルでCTCの転写産物プロファイルを解析し、腫瘍細胞間の不均一性を明らかにする。特に転移能に寄与する分子経路(上皮間葉転換因子や遊走・浸潤に関わる経路)や、免疫監視からの逃避(免疫回避)に関連する遺伝子発現変動を解明する。これにより、転移を引き起こす“悪玉”となるCTCサブクローンの特徴を同定することを目指す。
|
| Causes of Carryover |
多施設でのサンプル収集に差が生じたことにより、サンプル数が予定より少なくなり、当該助成金が生じた。次年度より、大規模なレジストリーに参加することで、サンプル数の増加が見込まれる。
|