2022 Fiscal Year Annual Research Report
Exploration of patient-centered evidence: integration of claims and health checkup information with patient experience and patient-reported outcomes
Project/Area Number |
22H03327
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | National Center for Global Health and Medicine |
Principal Investigator |
杉山 雄大 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 室長 (20725668)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田宮 菜奈子 筑波大学, 医学医療系, 教授 (20236748)
東 尚弘 国立研究開発法人国立がん研究センター, がん対策研究所, 部長 (10402851)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | レセプト / 健診 / 患者体験 / 患者報告アウトカム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、レセプト情報・健診等のリアルワールドデータと患者体験、患者報告アウトカムなど、二次利用データからは得られない深さの情報を融合させる新しい調査デザインを確立することを目的とする。本研究では、レセプト情報等を用いたリアルワールドデータ研究と、患者体験等を用いた研究の2つの手法について、特長と課題が対照をなし、互いに相補的であることに注目し、両者を融合することでこれまで得られなかった患者主体のエビデンスを創出する調査デザインの確立を目指す。 初年度においては、以下の研究を行なった: ①リアルワールドデータと患者体験等を融合する調査デザインのまとめ(国内外のレビュー等)、②関連する倫理的・法的・社会的課題(ELSI)の整理、解決方法の検討については、同様の研究手法について国内外の研究手法やデータベースについてのレビューと、それを踏まえた課題の整理についての論文総説を執筆し、投稿準備段階にある。③レセプト情報等から患者同定・リスク層別化を行う手法の開発(データ解析)については、企業健保のレセプト・健診データベース(JMDC Claims Database)を取得し、予備的な研究を行う準備を行うとともに、つくば市で行なわれた糖尿病患者体験調査を学術的観点からサポートを行い、経験を通じて本研究デザインについての知見を蓄積した。④「リアルワールドデータと患者体験等の融合」調査デザインの実行については、つくば市職員と意見交換を行い、翌年以降行う調査について検討を重ねた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①リアルワールドデータと患者体験等を融合する調査デザインのまとめ(国内外のレビュー等)、②関連する倫理的・法的・社会的課題(ELSI)の整理、解決方法の検討については、レビューを執筆し、投稿準備段階にある。③レセプト情報等から患者同定・リスク層別化を行う手法の開発(データ解析)については、企業健保のレセプト・健診データベース(JMDC Claims Database)を取得した。これは、JMDC Claims Databaseと突合可能なPep UpというPHRサービスを用いた研究を検討する上で、予備的な研究を行うためのものである。また、つくば市で行なわれた糖尿病患者体験調査を学術的観点からサポートを行い、経験を得る中で本研究デザインについての知見を蓄積した。④「リアルワールドデータと患者体験等の融合」調査デザインの実行については、つくば市職員と意見交換を行い、翌年以降行う糖尿病以外についての調査手法についても検討を重ねた。 当初の研究計画と比較して、初年度は概ね順調に進行していると考えた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究を進める中でいくつか課題が判明している。まず、Pep Upの場合は、アンケートは一部対象に対して行うものでなく、PHRサービスを持つ被保険者全員に配布されるものとなっているため、ターゲットを絞ったアンケートを行いたい場合にも広報が全員に行ってしまうということがある。これは、企業の方とも意見交換を行い、今後の対策について検討を行っている。 また、アンケートの場合、レセプト・健診情報と突合されることを忌避し、アンケートの回収率が下がるのでは無いかという懸念がある。実際には、つくば市の場合、アンケート回答率は40%を超え、必ずしも低い回収率にとどまるものではなかったが、一方では突合のための番号を切り取って回答した対象者は数名いた。 次世代医療基盤法の改正など、データの突合に向けた体制整備が進む中、事例を蓄積し、方法論について広く周知することによって、一般に向けてもコンセンサスを得るための努力を行うことが重要と考えられる。
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