2022 Fiscal Year Annual Research Report
THAラットから展開する低濃度化学物質曝露の革新的次世代影響評価ツールの確立
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22H03337
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
遠藤 整 東海大学, 医学部, 准教授 (10550551)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大塚 正人 東海大学, 医学部, 教授 (90372945)
實木 亨 三重大学, 医学系研究科, 准教授 (10546675)
大和田 賢 東海大学, 医学部, 講師 (40756409)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | THAラット |
Outline of Annual Research Achievements |
胎生期や授乳期などの発達過程は、個体が未成熟であるため内的・外的環境の影響を受けやすい。特に未発達な中枢神経系は、母体を介した化学物質曝露に対して脆弱であるため、次世代の学習や記憶能力への影響が大きい。しかし、次世代における学習能力への影響は、in vivoで評価することは不可能である。高学習能モデル動物THAラットは、生まれつき学習能力が高い表現型であるため、「表現型の変化=学習能力の低下」として個体レベルでの評価が可能となり、周産期における化学物質曝露による次世代影響を評価する上で最適な評価モデル動物になると考えている。 本年度は、THAラットの特徴である高学習能力を規定する因子とその制御機構の包括的理解を目的として、次に示す解析を主に行った。はじめに、THAラットの由来系統であるWistarラットとTHAラットを用いて、レバー押しによって嫌悪刺激を回避する学習試験を行った。Wistarラットの学習試験成績にはかなりの多様性があったため、低回避成績を示す群、高回避成績を示す群にグループ分けし、THAラットの3群の海馬組織を用いてマイクロアレイによる遺伝子発現解析を行った。次に、タンパク発現を狡猾的に検討するためプロテオーム解析を行っている。それらの解析から分かりつつあることは、学習の規定する共通分子があるものの、THAラット特異的に学習機能を制御する分子が存在することが示唆されてた。現在は、学習や記憶の過程を規定する分子や、記憶の固定に関わる分子についても注目し解析を継続している。また、次年度に向けてゲノム編集による個体レベルの解析を行うべく、i-GONAD法によるラットのゲノム編集プロトコール確立に取り組み、THAラットのゲノム編集個体を十分に得る体制が整った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り順調に研究を遂行することが出来ている。ただし全ての実験計画がスムーズに進行していったわけではない。Wistarラットの学習能力は、購入時には不明である。実際に学習能力を検証してみると、全く学習試験に興味を示さない個体や、取り組もうとしない個体や、極端に高学習能力を示すといった特定の学習成績のみを示してしまう集団が多く、目的とする個体を得るまでには大きな苦労があった。また、THAラットの交配成績が不安定な世代であったためか、THAラットにおいてもサンプルの確保は非常に大変であった。しかしながら、地道に実験を積み重ねることで、学習能力に関わる分子の同定に挑戦することが出来た。学習能力を規定する分子は、これまでに知られているような分子だけではないことなど、当初は予想していない知見を得ることは出来た。 これまでの報告から、ラットでi-GONAD法によるゲノム編集個体が作成できることは知られていた。しかしながら、THAラットに対するi-GONAD法のプロトコールは、既報の方法と同じでは全くうまくいかず、プロトコールの見直しが必要であった。遺伝子導入時の電流値などを少しずつ見直していく必要があり、多くの労力を割くことになった。ただし、分担者の経験による強力なバックアップ体制があったため、順調にTHAラット独自のプロトコールが区立することが出来た。現在は、さらに詳細な検討をするためにも実験動物の確保に努め実験の遂行に努めている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究課題をシームレスに継続するため、研究遂行の基本となる実験動物の確保と維持に努める。i-GONAD法のプロトコール確立より、様々なゲノム編集個体を確立し、表現型、神経生理学的、組織学的検討などから、THAラット独自の学習機能の制御分子を解明していきたいと考えている。さらには、THAラットの表現型をダイレクトに表している分子に迫るため、学習試験において経時的に得た血清などを用いて、学習機能と連動する代謝物を同定する。代謝物の同定には、メタボローム解析予定している。
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Research Products
(2 results)