2022 Fiscal Year Annual Research Report
核酸ワクチンやゲノム編集遺伝子治療に係る安全性の評価と安全な運用に資する研究
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22H03343
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
小野 竜一 国立医薬品食品衛生研究所, 毒性部, 室長 (10401358)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 修治 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, システム発生・再生医学研究部, 部長 (20382856)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ゲノム編集 / mRNAワクチン / レトロトランスポゾン |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者らは、マウス受精卵においてゲノム編集を実施した際に、およそ20%の胚の DNAの二重鎖切断 (DSB ; DNA double strand break) 部位(オンターゲットサイト)にレトロトランスポゾンや内在性レトロウィルス、内在性遺伝子の逆転写産物、および CRISPR/Cas9 プラスミドの DNA 断片が挿入されるオンターゲットリスクが存在することを報告している(Ono R., et al., Scientific Reports, 2015)。さらに、エクソソームを介して他動物種より細胞に取り込まれた mRNA の逆転写産物が、オンターゲットサイトに取り込まれる、すなわち、エクソソームを介した遺伝子水平伝搬機構が存在することを明らかにしている(Ono R., et al., Communications Biology, 2019)。
この様な非意図配列の挿入(オンターゲットリスク)は、ゲノム編集遺伝子治療の大きな障害となると同時に、COVID-19のワクチンとして使用されている mRNA ワクチンの逆転写産物がゲノム中に挿入される可能性を示唆している。そこで、本研究の目的は、ゲノム編集の際にオンターゲットサイトに非意図配列および mRNA ワクチンの逆転写産物が挿入するオンターゲットリスクの可能性を検討し、それらを回避する手段の開発である。 2022年度研究においては、デジタルPCRを利用したmRNAの逆転写効率の検出方法の開発を行なった。また、モデルmRNAの合成を行ない、マウス受精卵に実際にモデルmRNAのインジェクションを行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、mRNAワクチンのモデルとなるmRNAの合成を行った。また。このモデルmRNAが逆転写を受けた際に検出する系の作製に成功した。このモデルmRNAをマウス受精卵にインジェクションを行ない、2細胞期胚で回収を行なったことから、当初の予定通りに本研究課題は進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度にモデルmRNAをインジェクションしたマウス受精卵サンプルの逆転写効率の検出を行う予定である。また、ゲノム編集を行う際に非意図配列がオンターゲット部位に挿入するオンターゲットリスクと逆転写活性の相関があるのかを検証する予定である。これにより、将来的なゲノム編集遺伝子治療の安全な運用につなげられる。
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Research Products
(4 results)