2023 Fiscal Year Annual Research Report
日米英蘭の先端ゲノムコホートと戦略的AI解析技術を用いた多因子疾患の病態解明
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22H03346
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
栗山 進一 東北大学, 災害科学国際研究所, 教授 (90361071)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ゲノムコホート / バイオバンク / 自閉スペクトラム症 / アトピー性皮膚炎 / 糖尿病 / クラスター分類 / ゲノムワイド関連解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、①自閉スペクトラム症(ASD)、アトピー性皮膚炎(AD)、糖尿病(DM)の3つの疾患について、日米英蘭の4か国の代表的なゲノムコホートからなる先端のデータベースを構築し、②そこで得られている詳細かつ精度の高い表現型に人工知能(AI)をはじめとした先進の解析技術を用いて異質と考えられる疾患をクラスターに分け、③クラスターごとにゲノムワイド関連解析(GWAS)を行って関連遺伝子変異を同定することである。 ASDに関しては、米国のバイオバンクであるSPARKデータを用い、クラスターを基にしたGWASを行ってクラスターごとの関連遺伝子を同定し、論文執筆を行い、論文投稿中である。ADに関しては、三世代コホート参加者を対象として表現型を精緻に同定するための検討を実施し、2人の皮膚科専門医が独立して診断を行い、それが一致した場合のADの有病率と、その他の方法によって診断された場合の有病率は、約3倍2人の皮膚科専門医の方が高いことを見出し、論文投稿中である。現在、診断方法別にクラスタリングとそれに続くGWASを行い、これまでに報告されている遺伝子領域に加え、新たな遺伝子座も発見している。DMに関しては、UK Biobankデータ、三世代コホートデータを用いて、肥満及び耐糖能異常に関してクラスタリングとGWASを行って、これまでに報告されている複数の遺伝子座は、クラスタリングにより得られたサブグループごとにそれぞれ分かれる傾向のあることを発見し、その結果を論文投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3つの表現型について、それぞれクラスタリングとこれに基づいたGWASを実施することができている。その成果はそれぞれ論文執筆され、投稿中あるいは投稿準備中である。 家系情報を用いて擬陽性を排除してより真実に近い変異を明らかにしてASD、AD及びDMの病態解明を行ったうえで、より均質と考えられる疾患群個々のリスク予測式構築を構築し、リスク予測アプリケーションの開発を行って社会実装する点に関しても、分析は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
クラスタリングに基づくGWASについて、変数の選択、クラスタリングアルゴリズムの検討、クラスター数の選定等について、AI特に深層学習を用いて分析を深める。さらにそこで得られた成果について、家系情報付コホートデータの解析を行い、より精緻なリスク予測式の構築を目指す。 アプリケーションの開発については、ゲノム情報を用いないものについてはすでに構築済みである。今後はこれをゲノム情報付のものに拡張する。
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Research Products
(1 results)