2023 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の身体的虐待の特徴と傾向に基づく関連機関の連携に関する研究
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22H03411
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
櫻田 宏一 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (10334228)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
峰岸 沙希 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (00882820)
戸谷 麻衣子 公益財団法人老年病研究所附属病院(診療部医局、診療部検査課、群馬県認知症疾患医療センター、前橋市認知, 診療部医局, 歯科医 (10900045)
上村 公一 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (30244586)
池谷 博 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30292874)
鵜沼 香奈 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 准教授(キャリアアップ) (30586425)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 高齢者虐待 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、これまで国内82大学の法医学教室、全国から無作為に抽出した約3,000カ所の医療機関、自治体及び地域包括医療センターをそれぞれ対象とした高齢者虐待に関するアンケート調査を実施し、高齢者の身体的虐待における法医学的特徴を初めて明らかにしてきた。特に死亡につながる損傷の特徴や身体的虐待を繰り返し受けやすく外観からは発見されにくい部位の情報は、早期発見のために各関係機関に提供することが重要であることが明らかとなった。これまで調査してきた機関同士の連携状況は極めて乏しく、その強化のためには定期的な意見交換や虐待対応窓口の周知、予算やマンパワーの確保が必要であり、定期的交流の機会が必要であることも明らかとなった。また、将来における虐待の再発防止のためには、事例のフィードバックや事後検証に関し、他機関を含めてこれらが実施可能なチームや機関などを創設することが必要であることも示唆された。これらの解析結果も踏まえ、本年度は全国から無作為に抽出した通所介護事業所1000件及び特別養護老人ホーム100件をそれぞれ対象とした高齢者虐待事例に関するアンケート調査票を作成し、郵送にて調査を実施した。現在、調査票を回収し、解析を開始している。今回の調査では、これまでの虐待事例に関する概要のアンケート調査票に加えて口腔領域を含む顎顔面領域の外傷所見についての詳細な調査のためのアンケート別紙を作成し、その記入を依頼した。これにより、詳細な外傷所見についての調査結果が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの回収率は13%程度と高くはないが、虐待による口腔内の損傷事例に関する報告が各機関より挙がっており、施設で発見された虐待による外傷所見についての特徴など有用な知見が得られると考えられる。 概ね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
特別養護老人ホーム宛に900通のアンケート調査を実施する予定である。施設内虐待事例及び家庭内での虐待事例の施設職員による発見事例などを調査し事例の傾向や外傷所見の特徴について検討する。 また、東京医科歯科大学及び京都府立医科大学法医学教室で扱った高齢者虐待等による法医解剖事例について、口腔内所見を含めた顎顔面・口腔領域の外傷所見の採取を行っていく。
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