2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22H03504
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
大西 浩史 群馬大学, 大学院保健学研究科, 教授 (70334125)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 由里子 群馬パース大学, 保健科学部, 講師 (90737438)
山崎 恒夫 群馬大学, 大学院保健学研究科, 教授 (80200658)
林 邦彦 群馬大学, その他部局等, 理事 (80282408)
土屋 謙仕 群馬大学, 大学院保健学研究科, 助教 (10807423)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ミクログリア / 老化 / 白質 / 運動学習 / 遺伝子発現 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに、ミクログリア特異的SIRPα欠損マウス(MG-SIRPα cKOマウス)の老化後の脳から単離したミクログリア画分で網羅的な遺伝子発現プロファイルの解析結果を得ていたが、今回、老化していない成獣のMG-SIRPα cKOマウス脳からミクログリア画分を新たに調製し、網羅的な遺伝子発現プロファイルの解析を行った。解析結果から、老化前のMG-SIRPα cKOマウスのミクログリアで特徴的に変化する複数の遺伝子が明らかとなった。これらの変動遺伝子セットについて、老化後のMG-SIRPα cKOマウス脳のミクログリア画分の解析結果と比較したところ、週齢にかかわらずSIRPα欠損ミクログリアで特徴的に発現変動する遺伝子が同定された。また、若齢期、老齢期、それぞれの時期においてSIRPα欠損ミクログリアの特徴となる遺伝子発現プロファイルも明らかとなった。 脳白質老化モデルとして手術によりコイルで頸動脈を狭め血流を低下させる慢性低灌流モデルを導入した。低灌流後の白質損傷とミクログリア活性化を組織化学的に検討したが、現在までのところ、白質損傷による保護型(CD11c陽性)MGの顕著な出現は観察できていない。また、白質におけるミクログリア活性化誘導因子候補としてフィブリノゲンの関与を検討したが、MG-SIRPα cKOマウスにおいて、フィブリノゲン除去によるCD11c陽性ミクログリア出現への影響は認められなかった。しかし、実験系に問題が残されており、フィブリノゲンの関与について結論には至らなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
成獣MG-SIRPα cKOマウスのミクログリアにおける遺伝子プロファイルを明らかにし、老化後ミクログリアと比較できたことより、SIRPα欠損ミクログリアのプロファイリングは着実に進展したと考える。一方、新たな白質老化モデルとして期待していた慢性低灌流モデルは、手術法の確立に想定以上の時間を要したこと、現在までに、白質老化モデルとして十分な表現型が得られていないことから、やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
SIRPα欠損ミクログリアの保護作用について、以前行ったアルツハイマー病モデルマウスでの解析が十分ではない可能性があるため再検討を行う。また、SIRPαによる保護型ミクログリア出現制御のメカニズムを検討するために、現在保護型ミクログリア誘導に必須とされる他の分子シグナルとの関係について検討する。
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