2023 Fiscal Year Annual Research Report
発達期のNAD代謝は老年期の運動能力を運命づけるのか?
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22H03505
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
中川 崇 富山大学, 学術研究部医学系, 教授 (40610374)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
箭原 康人 大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 特任准教授(常勤) (60456390)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | NAD / 老化 |
Outline of Annual Research Achievements |
胎児・発達期の低栄養は、将来的な糖尿病や高血圧などの発症リスクが高くなることが知られており、DOHaD仮説として知られている。これらは単に胎児期や発達期の低栄養が長引いて、将来的な疾患を引き起こすというより、胎児期・小児期の環境要因により代謝適応がうまくいかないと、なんらかの形で個体・組織・細胞に記憶され、将来的な疾患の原因となると考えられている。しかしながら、どういった栄養環境が、どのような分子メカニズムでこうした影響を及ぼしているのかは、現在でも不明な点が多い。NAD (ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)は、ナイアシンやトリプトファンから合成される補酵素であり、さまざまなエネルギー代謝経路に関わっている。本研究では、遺伝子改変マウスやメタボロミクスを駆使することで、NAD代謝によるDOHaD仮説のメカニズムを解明し、早期からの介入法開発へとつなげていくことを目的とした。本年度までに、NAD synthetase (NADS)のノックアウトマウスを解析し、肝臓でのNADレベルには影響を与えないものの、骨格筋NADレベルを大きく低下させることを見出した。また、骨格筋のNADレベルが低下することにより、筋力や持久力が野生型マウスと比較して低下していた。一方で、1歳齢を越えると骨格筋のNADレベルは正常化することがわかった。しかしながら筋力や持久力の異常は改善していなかった。そのメカニズムとして概日リズムとヒアルロン酸代謝に異常がみられることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
NAD synthetase (NADS)のノックアウトマウスの解析を通じて、幼少期にNADレベルが減少すると老年期での運動能力に影響を及ぼすことを明らかにした。また、そのメカニズムとして概日リズムとヒアルロン酸代謝に異常がみられることを明らかにした。このように、おおむね研究目標は達成され、来年度中に研究成果の論文投稿を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的であった「NAD代謝は老年期の運動能力を運命づけるのか?」という点については、NAD synthetase (NADS)のノックアウトマウスの解析を通じて、発達期NADレベルの減少が老年期での運動能力に影響を及ぼすことを明らかにできた。また、そのメカニズムとして概日リズムとヒアルロン酸代謝に異常がみられることを明らかにした。特にヒアルロン酸代謝についてはヒストンメチル化が何らかの記憶となっている可能性がある。今後、ChIP-シークエンスを行うことで、実際にヒストンメチル化が関与しているか明らかにする。また、ヒアルロン酸の投与で運動機能が回復できるか調べることで、より直接的に因果関係を示し、今年度中に論文投稿を行う
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[Journal Article] Niacin restriction with NAMPT-inhibition is synthetic lethal to neuroendocrine carcinoma2023
Author(s)
Nomura M, Ohuchi M, Sakamoto Y, Kudo K, Yaku K, Soga T, Sugiura Y, Morita M, Hayashi K, Miyahara S, Sato T, Yamashita Y, Ito S, Kikuchi N, Sato I, Saito R, Yaegashi N, Fukuhara T, Yamada H, Shima H, Nakayama KI, Hirao A, Kawasaki K, Arai Y, Akamatsu S, Tanuma SI, Sato T, Nakagawa T, Tanuma N
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Journal Title
Nature Communications
Volume: 14
Pages: 8095
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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