2022 Fiscal Year Annual Research Report
運動と非アルコール性脂肪肝炎の改善をつなぐ制御分子機構の解明
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22H03530
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
永島田 まゆみ 金沢大学, 保健学系, 研究協力員 (30645510)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桜井 博 金沢大学, 保健学系, 教授 (00225848)
本多 政夫 金沢大学, 保健学系, 教授 (00272980)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 非アルコール性脂肪肝炎 / マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度はNASHの病態形成に関与する肝臓マクロファージのM1/ M2極性制御機構における熱ショック転写因子の役割について検討を行った。NASHの肝臓に浸潤するマクロファージは、炎症惹起性M1マクロファージが増加し抗炎症性M2マクロファージが減少するM1極性化を示すことが報告されている。ターゲットである熱ショック転写因子は、ヒトやマウスにおいて全身で発現しているため、マクロファージにおける作用機構を明らかにするためCre-loxPシステムを用いてマクロファージ特異的な遺伝子欠損であるコンディショナルノックアウト(cKO)マウスを作製した。このcKOマウスに食餌性NASHを誘導し、代謝表現型解析を行った。 糖負荷試験においてcKOマウスは耐糖能の改善を認めた。またピルビン酸負荷試験において、コントロール群と比較してcKOマウスは肝糖産生の抑制傾向を示した。またウエスタンブロッティング法の解析からcKOマウスの肝臓において、炎症シグナルであるNF-κBの有意な低下を認めた。更にフローサイトメトリー解析から、コントロール群と比較してcKOマウスは肝臓に浸潤するM1マクロファージの減少と、M2マクロファージの増加を認めた。これらの結果からcKOマウスは、肝臓に浸潤するマクロファージをM2優位にシフトさせることで肝臓の炎症を減弱しNASHの病態形成に重要な影響を与えていることが考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
解析に必要な数のマウスの産仔を得ることに時間がかかってしまったことや、食餌性NASHを誘導するまでに特殊試料を20週間与える必要があり、代謝表現型解析を行うまでに時間がかかってしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
①食餌性NASHを誘導したマクロファージ特異的に遺伝子欠損しているコンディショナルノックアウトマウスにおいて、引き続き肝臓に蓄積している脂肪や線維化の評価、肝臓における炎症や線維化に関与する遺伝子発現解析を行う。また血液中の単球における表現型解析を行い、炎症性細胞の動態について評価を行う。 ②熱ショック転写因子における腸管透過性の亢進とNASHの病態形成について検討を行う予定である。腸管上皮特異的に遺伝子を欠損するマウスの樹立が完了しており、食餌性NASHを誘導し、代謝表現型解析を行う。 ③運動負荷における標的臓器の熱ショック転写因子の発現について評価する。
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