2022 Fiscal Year Annual Research Report
腎症超早期状態を反映する尿中エクソソームタンパク質の質的・量的変動解析
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22H03531
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
柴田 貴広 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (80447838)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊地 良介 岐阜大学, 医学部附属病院, 臨床検査技師長 (30721435)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 細胞外小胞 / 糖尿病性腎症 / 疾患マーカー / プロテオミクス |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、尿中細胞外小胞に含まれるマーカー候補タンパク質の探索を行った。 過食により肥満を伴って糖尿病を発症するとされるモデルラットOLETFおよびそのコントロールラットLETOについて、腎障害のマーカーである尿中アルブミン値の有意な上昇が認められない初期段階の尿を回収した。それぞれの尿サンプルから超遠心分離器を用いて細胞外小胞画分を得た。細胞外小胞マーカータンパク質であるCD9やAlixについて、ウェスタンブロットを行い、得られた細胞外小胞画分にこれらのタンパク質が存在することを確認した。また、粒子径測定の結果、100-200 nmの大きさであることを確認した。さらに電子顕微鏡観察により、脂質二重膜の小胞であることを確認した。これらの結果から、尿サンプルから細胞外小胞を回収できていることが確認された。 得られたそれぞれのラット尿由来細胞外小胞よりタンパク質を抽出し、還元アルキル化後、トリプシン消化を行い、質量分析計に供し、OLETFラット尿由来細胞外小胞サンプルおよびLETOラット尿由来細胞外小胞サンプル間で変動のあるタンパク質を探索した。その結果、LETOラットサンプと比較してOLETFラット尿由来細胞外小胞サンプルにおいて有意に増加するタンパク質を見出した。この候補タンパク質について、特異的抗体を用いたウェスタンブロットによる評価を行ったところ、LETOラット尿由来細胞外小胞サンプと比較してOLETFラット尿由来細胞外小胞サンプルで有意に増加することを確認した。また、ウェスタンブロットにより、ラットの週齢が高くなっても両ラット間で有意な差があることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、尿中細胞外小胞に含まれるマーカー候補タンパク質の探索を行った。ウェスタンブロットおよび粒子径測定、電子顕微鏡観察により、細胞外小胞が回収できていることを確認したのち、質量分析計により候補となるタンパク質を見出すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画に従って、OLETFラットに対し、食餌制限をすることにより腎障害を軽減した場合に、尿中細胞外小胞の候補タンパク質が減少するかを検討する。また、質量分析計を利用して、候補タンパク質の高感度定量方法を確立する。さらに、培養細胞においても候補タンパク質が変動するかと検討する。当初の計画にはないが、レクチンアレイにより細胞外小胞における糖鎖修飾を解析する予定である。
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Research Products
(4 results)