2023 Fiscal Year Annual Research Report
腎症超早期状態を反映する尿中エクソソームタンパク質の質的・量的変動解析
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22H03531
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
柴田 貴広 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (80447838)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊地 良介 岐阜大学, 医学部附属病院, 臨床検査技師長 (30721435)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 細胞外小胞 / 糖尿病性腎症 / 疾患マーカー / プロテオミクス |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度に実施したプロテオミクス解析により、糖尿病モデルラット尿中EVで増加するタンパク質として見出した候補タンパク質に関して、ウェスタンブロットにより定量解析を行った。糖尿病モデルラットおよびコントロールラットそれぞれについて、5、10、20、25週齢時に採尿し、超遠心法によりEVを採取した。各EVサンプルをウェスタンブロットにより評価したところ、5週齢から有意に増加すること、またその増加は25週齢にかけてさらに顕著になることを明らかにした。 このタンパク質がEVの中に局在しているのかを検討した。ゲル濾過クロマトグラフィーにより糖尿病モデルラット尿EVサンプルを分画したのち、各画分における候補タンパク質の存在をウェスタンブロットにより確認した。その結果、CD9などのEVマーカーと同じ画分に候補タンパク質が検出された。また尿中の非EVタンパク質であるTHPとは共局在しなかったことから、候補タンパク質は確かにEVに由来するタンパク質であることが明らかとなった。さらに、候補タンパク質がEVに内包されているかを確認するために、尿EVサンプルにプロテナーゼKを処理した。その結果、膜タンパク質は酵素消化されたものの、候補タンパク質は消化されなかった。また、このタンパク質の酵素活性を測定したところ、EVを破壊する界面活性剤を添加しないと酵素活性が認められなかった。これらの結果から、候補タンパク質はEVに内包されて存在していることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
質量分析による定量はいまだ確立できていないものの、ウェスタンブロットにより候補タンパク質が有意に増加することを明らかにできた。また候補タンパク質がEVの中に局在することを明らかにできた。
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Strategy for Future Research Activity |
質量分析を利用した安定同位体希釈法による定量法の確立を引き続き行う。また、レクチンプルダウンアッセイや免疫組織染色により、腎臓のどの組織・細胞で候補タンパク質が増加するかを明らかにする。さらに、食餌制限による候補タンパク質の変動も併せて解析する。
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