2022 Fiscal Year Annual Research Report
食事由来脂質が神経伝達物質の小胞内充填と放出を制御する分子基盤
Project/Area Number |
22H03534
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
宮地 孝明 岡山大学, 自然生命科学研究支援センター, 研究教授 (40550314)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | トランスポーター / 脂質 / 化学伝達 / 生活習慣病 |
Outline of Annual Research Achievements |
食生活の欧米化に伴い、生活習慣病の罹患者や死亡数は増加の一途を辿っている。これまでに小胞型ヌクレオチドトランスポーター(VNUT)は特定の機能性脂質代謝物の作用標的であり、この代謝物は生活習慣病を副作用が少なく予防・治療できることを明らかにした。しかし、小胞型神経伝達物質トランスポーターの多くは未だ同定されておらず、他の小胞型トランスポーターの栄養学的役割は不明な点が多い。本研究では、トランスポーターの独自の評価技術を用いて、小胞型神経伝達物質トランスポーターを新たに同定し、食事由来脂質が伝達物質の小胞内充填と放出を制御する分子基盤を確立する。生活習慣病の病態解明と有効な予防・治療法の確立が期待される。 本年度は、VNUTがエイコサペンタエン酸やその代謝物によってnMオーダーで強力に阻害されること、その結果、神経細胞からのATP放出が遮断され、神経障害性疼痛や炎症性疼痛、さらには、インスリン抵抗性が改善されることを学術論文に発表した。また、食事由来脂質が小胞型神経伝達物質トランスポーターを制御する分子基盤を確立するために、候補となる小胞型トランスポーターの輸送基質を同定し、その発現パターンを明らかにした。さらに、高脂肪食とコントロール食群のシナプス小胞において、輸送機能や性状を評価するための実験系を構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画の初年度の実施内容をほぼ達成したため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、精製・再構成法にて、新しい小胞型神経伝達物質トランスポーターを探索し、その輸送特性を調べる。これらトランスポーターの発現と局在を解析し、細胞レベルでの機能を評価する。また、高脂肪食とコントロール食群での表現型、シナプス小胞の輸送機能や性状解析を進める。
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