2022 Fiscal Year Annual Research Report
Development and innovation of statistical theory and methodology of network meta-analysis
Project/Area Number |
22H03554
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The Institute of Statistical Mathematics |
Principal Investigator |
野間 久史 統計数理研究所, データ科学研究系, 准教授 (70633486)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 毅 昭和大学, 医学部, 教授 (90349100)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | ネットワークメタアナリシス / Evidence-based medicine / 高次漸近理論 / モンテカルロ推測 / 影響力解析 / 多変量メタアナリシス / 公表バイアス / 外れ値 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、ネットワークメタアナリシスにおける推測手法の根幹的な問題である、現状のスタンダードな方法の検定・信頼区間の妥当性が成り立たないという問題を解決するための高次漸近理論に基づく方法の開発に取り組んだ。Kenward-Rogerの方法による新たな推測方法の開発に成功し、シミュレーション実験・実データの解析を通して、既存手法より優れた性能を有することを確認できた。この手法の優れた点は、簡便な行列計算で、信頼区間などを、高速に計算することができるという点である。国際学術誌への論文投稿を行い、良好な査読結果が得られている。 また、試験間の治療効果の異質性を測るための指標として、予測区間が、近年、重要な指標として使われているが、本研究では、Bootstrap法に基づく有効なモンテカルロ技法と、高次漸近理論に基づく手法の開発に取り組んだ。シミュレーション実験・実データの解析を通して、既存のスタンダードな手法より優れた性能を有することを確認できた。統計解析ソフトウェアRのパッケージPINMAを開発し、CRANへの公表を行った。 加えて、ネットワークメタアナリシスにおける外れ値の検出と影響力解析における実践的な方法論として、機械学習の領域で開発されたロバストなダイバージェンスに基づく推測方法の開発を行った。推定方程式の理論に基づくロバストな推定方法を開発し、重みの不確実性を考慮した、有効な信頼区間の構成方法を開発した。 併せて、ネットワークメタアナリシスにおけるContrast-basedモデルでのベイズ流の推測手法の開発に取り組み、マルコフ連鎖モンテカルロ法を用いない、解析的な計算のみですべての計算を完了することができる、汎用的なベイズ計算法を開発した。Jeffreys事前分布などの非正則な事前分布を用いた解析も可能とする枠組みであり、実用上の有用性の高い方法であると考えられる。本研究においても、国際学術誌への論文投稿を完了している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
初年度に、4報の原著論文を国際学術誌に投稿するに至り、いずれも、前向きな改訂の依頼を受けている。その中には、領域内トップ10%のジャーナルからの改訂依頼も複数含まれている。
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Strategy for Future Research Activity |
継続して、ネットワークメタアナリシスにおける実践上の問題を解決するための新規なデータ分析の方法の開発に取り組む。 欧米の研究者と共同で行った、精神疾患のネットワークメタアナリシスを事例として、ネットワーク上でのエビデンスの包括的一致性(global consistency)が成立しなかった場合の対処方法として、潜在的な不一致性を調整した上での治療効果の推測方法についての研究に取り組む。 一つの手段としては、ランダム効果によって、不一致性をモデル化したランダム不一致性モデル(random inconsistency model)があるが、これを用いて、潜在的なエビデンスの不一致性が、最終的な結果にどの程度の影響を与えていたのかの感度分析の方法を開発する。加えて、それに相当する、固定効果に基づく不一致性モデルでの感度解析方法の開発を行う。 また、昨年度、行った、ネットワークメタアナリシスの推測・予測における新しい推測・予測手法の開発においては、4報の原著論文が、国際一流誌の査読を経て、Major Revisionの返答を得ている。従来の条件付き最尤法や最尤法・モーメント法は、一般的な応用上の条件下で、しばしば大標本近似が成立しないことが、近年の研究から明らかにされており、それを補正するための方法を新たに開発したものである。本年度、これらの論文をすべて採択とさせるため、継続的な研究を行う。 バイアスのモデル化・評価方法の研究においては、ネットワーク上のエビデンスの不一致性(inconsistency)の評価において、主要な方法のひとつとなっている、ランダム不一致性効果に基づく検定手法において、既存の検定手法は、我々のこれまでの研究により、多くの実践的な条件のもとでその妥当性を失うことがわかっている。昨年度に引き続き、その問題を解決するための新しいモンテカルロ検定を開発する。また、その多変量ネットワークメタアナリシスへの拡張へも取り組む。
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