2023 Fiscal Year Annual Research Report
畜産・酪農DXに向けた自律型牛生体・行動情報取得システム基盤の開拓
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22H03558
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
廣瀬 哲也 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (70396315)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅原 徹 京都工芸繊維大学, 材料化学系, 教授 (20622038)
清水 徹 東洋大学, 情報連携学部, 教授 (90588344)
兼本 大輔 大阪大学, 大学院工学研究科, 准教授 (90603332)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 太陽電池 / 熱電発電素子 / パワーマネジメント / 生体情報 / 行動情報 |
Outline of Annual Research Achievements |
自律型牛生体・行動情報取得システムの創出に向けた超低消費電力パワーマネジメント技術基盤の開拓と,これを用いた牛情報センシング技術の基盤研究を実施した. パワーマネジメント技術では,光発電素子および熱電発電素子に向けた回路技術の構築を行った.光発電素子ではデジタルMPPT制御回路を搭載したオンチップ昇圧回路技術の回路シミュレーション,レイアウト,実測評価を行い,その性能を評価した.熱電発電素子に向けては,その極めて低い電圧で回路システムを動作させる必要があるため,インバータ,リング発振回路,そしてNAND・NORゲートの極低電圧動作技術の構築を行った.さらに,スイッチング電源回路の抽象化技術の構築を行うとともに,回路実装に関する研究を行い,チップ試作評価に向けた基礎検討を行った.さらに,センサアプリケーションとして超低消費電力で動作する温度センサの研究開発を行った. 複数の熱電半導体PN対を直列に接続した熱電変換デバイスを構成した.複数の熱電変換デバイスが直列および並列に接続された際に,各温度差における各デバイスの出力特性を詳細に検討した.また,チップサイズや数と実装面積によるシミュレーションを実施した. 牛の生体・行動情報取得用の脈波・行動情報取得システムの構築においては,脈波・加速度センサと,センサ及び通信制御のマイコンを搭載したプロトタイプシステムを試作し,センシングとデータ通信の機能を確認するとともに,各動作の消費エネルギーを評価して低電力化の指針の検討を行った.一方,動物の体表と外気の温度差を継続測定するシステムを試作・使用し,温度差発電の実効性を確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
光発電素子に向けた回路技術の構築においては,デジタルMPPT制御回路を搭載したスイッチトキャパシタ型昇圧回路のアーキテクチャの有効性をシミュレーションにより確認し,さらにチップ試作を行った.測定評価の結果,スマートセンサLSI応用に向けた電流範囲である100uAの電流範囲に安定して電流を供給できる見通しを得た.熱電発電素子に向けた回路技術においては,極低電圧で動作するインバータ回路技術の構築を行った.本技術を活用したリング発振器,ならびにNAND/NORゲートの設計手法についてその有効性を確認した.さらに,スイッチング電源に向けた回路アーキテクチャを確立し,シミュレーションにより有効性を確認した.またオンチップ温度センサ技術に関しては,温度に対して比例して変化する電圧PTAT電圧を活用することで温度センサとして活用できる見通しを得た. 小型,フレキシブルな熱電発電デバイスの基礎評価を実施した.起動時は熱電発電デバイスを直列に,起動後は並列接続を中心に設計することが望ましい見通しを得ており,前年度実施した直列・並列接続比較試験用に,PN接続チップ数を増加してデバイスを作製し,直列接続の特性を評価した.また,チップサイズや数と実装面積によるシミュレーションを実施したところ,デバイスデザインが変換特性に大きな影響を与える可能性が示唆された. 試作した脈波・行動情報取得システムを使用し,主に3軸加速度センサによる機能確認を実施した.同じく前年度に実現したIoTマイコンシステムを使用して,センシング間のアイドル時に通信用電源をオフすることで動作エネルギー削減する手法の目途をつけた.またウェアラブルIoT温度差計測システムを2台開発した.冬期に屋内,屋外,車内を通じて人の体表と外気の温度差を計測し,最小でも3~4℃の温度差が発電に使えることを確認した.
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Strategy for Future Research Activity |
光発電素子に向けたパワーマネジメント回路技術の構築では,デジタルMPPT制御回路技術の高性能化ならびに負荷電流範囲の拡大,および電力変換効率の向上のための回路技術検討を行う.特に,回路の静止電流を可能な限り低電力化し,さらに低電圧で動作する電圧制御発振器の電圧―周波数変換特性の線形性改善に関する研究を行う.熱電発電素子に向けたパワーマネジメント回路技術の構築では,2023年度に構築したスイッチング電源アーキテクチャの性能改善を進めるとともに,LSIチップ実装ならびに測定評価を実施し,微小温度差発電技術のベース技術の確立を行う.センサ応用としての温度センサでは,チップアーキテクチャの評価,ならびLSIチップ実装評価を実施する. 小型,フレキシブルな熱電発電デバイスの評価を継続する.前年度までの評価結果より,起動時は熱電発電デバイスを直列に,起動後は並列接続を中心に設計することが望ましい見通しを得ている.本年度も継続して,直列接続および並列接続のデバイス数を制御して特性を比較評価する.また,前年度のチップサイズや数と実装面積によるシミュレーションから,デバイスデザインが変換特性に大きな影響を与える可能性が示唆されたため,チップサイズを変更したデバイスを作製し比較評価を実施する. ウェアラブルIoT温度差計測システムを続けて使用し,夏期も含めて体表と外気の温度差を計測,発電に使える温度差のデータを蓄積する.また、IoT温度差計測システムの改良版として,発電を考慮した温度差拡大,小型化を検討する.更に,北里大学獣医学部との連携により,実際に家畜(牛,羊など)で体表と外気の温度差を計測する方法を検討する.一方,脈波・行動情報取得システムからのデータ読み出しの低電力化についても検討する.
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Research Products
(12 results)