2023 Fiscal Year Annual Research Report
エッジ・クラウド融合型アーバン・スクレイピング・アーキテクチャ構築とその応用
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22H03580
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
米澤 拓郎 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (90596917)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神山 剛 長崎大学, 情報データ科学部, 准教授 (40880886)
鈴木 秀和 名城大学, 情報工学部, 准教授 (50583803)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | アーバンコンピューティング / スマートシティ |
Outline of Annual Research Achievements |
日進市役所および廃棄物収集運搬許可事業者と連携して、ジオフェンシング技術およびゴミ回収時に発生する積込動作音をCNNで判別することにより、高い精度で日進市内のゴミ回収を検出するシステムを実装・運用した。このシステムを通じて収集した市内のゴミ回収データをクラウド上でデータベース化し、外部からアクセス可能なWeb APIを構築した。住民・自治体職員・廃棄物収集運搬許可事業者が塵芥車およびゴミ回収状況を確認可能なWebサービスのプロトタイプを実装した.また、ゴミ集積所におけるゴミの有無や回収後の後出しなどを検出したり、都市におけるゴミの放置時間をデータ化したりするために、カメラ型と超音波センサ型のエンドデバイスを試作した。 またR4年度に構築したデータ収集システムによるデータ収集効率性をさらに高めるべく、エッジ・サーバ連携による収集データの時空間的カバレッジを考慮する収集方法を考案・実装した。また、車両走行時に得られた撮影動画に対する物体検出技術を適用することで、人物など走行ルート上に存在するオブジェクトを地理情報を紐付ける形でデータ化する一連のシステムを構築した。 また得られた都市データを対象とするとともに、今後移動車両を用いた高度センシングを拡張するため、都市空間のインフラ情報センシングや、移動ビッグデータを活用した都市空間における多様性情報の計算手法を構築し、日進市のみならず国内他都市のデータ分析を実施した。現在論文化作業を実施している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和4年度で実装した積込動作音を活用したゴミ回収検出システムについて、動作検証や誤判定となる要因の分析および対策を実施した結果、97%の正解率を達成することができた。日進市内を走行する全20台の塵芥車の車載器へ本成果を導入し、市内全域のゴミ回収状況をデータ化する準備が完了した。日進市内にある2000箇所以上のゴミ集積所をリスト形式および地図形式でゴミ回収状況および塵芥車の走行位置を可視化した。また、集積所に実装するエンドデバイスは90%以上の正解率でゴミの有無を検出できることが明らかとなった。これらの成果を利用した実証実験を行うために、日進市役所職員と実施方法等について協議したところ無関係な集積所へのゴミ排出に係る住民トラブルやプライバシーの懸念が明らかとなった。よって情報を開示する地域を限定し、かつ居住エリア以外の集積所を閲覧できないよう制限をかけて運用することとした。 センサデータから意味づけした情報抽出とその情報を地理的情報と紐付けたデータとして扱うことができるようになったことで、具体的なサービス応用を想定したデータの時空間カバレッジを評価しつつ方式検討を行うことができるようになった。また、実フィールドでのデータ収集を行うことによるプライバシー面の問題など、都市センシングにおける新たな課題発掘も行うことができた。上記のように基礎的なデータ分析やアプリケーションの構成が整ってきたため、詳細なエッジ側処理の設計実装を進めた。本基盤はこれまで我々が構築してきたDistributed Node-REDを拡張する形で実装を進めており、サーバ側とエッジ側の協調処理手法について実装が進められた。更に、システム本研究成果を基礎としたより多様なデータとの統合分析と実施箇所の拡大に関しても進めており、各種センサデータを活用することで都市空間の多様性を抽出可能とする手法の構築にも取り組んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究により本研究基盤によるアプリケーションの概要や展開事例が明らかとなったため、今後全体として処理の高速化、効率化を可能とするシステム基盤ソフトウェアの実装と実証実験を進める。更に日進市のみならず他地域に展開可能なシナリオやシステム事例の構築を進める。また、住民、市役所職員および事業者の属性に基づいて可視化する情報を制御する機能を実装する。日進市役所と連携して、特定エリアにおけるゴミ回収状況の可視化に係る実証実験を行う。また、ゴミ集積所にエンドデバイスを設置してスマート化することにより、ゴミが排出された日時およびゴミ放置時間をデータ化する実証実験を行う。また,ゴミの排出および回収状等をリアルタイムで通知するLINEアプリを実装して住民へ提供することにより、市役所へのゴミ回収に係る市民の問い合わせ件数や、ゴミの排出時間および放置時間に変化(住民のゴミに関する意識や行動の変容)が発生するのかを調査する。 今後は、データの収集規模を拡大し、システム面での動作検証・改善を行うとともに、時空間的カバレッジを考慮した収集方法の効率性を本格的に評価していく。また、想定されている課題の1つである、リアルタイムなデータ処理の実現のために、さらなる方式改善を行う予定である。さらに、センシングデータに対する物体検出をさらに活用し、抽出する情報の種類を拡げることにチャレンジし、都市センシングによる新たなサービス応用の提案も行っていきたい。
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