2022 Fiscal Year Annual Research Report
無線センシングにおける行動認識ブートストラッピング機構の開発
Project/Area Number |
22H03583
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
内山 彰 大阪大学, 大学院情報科学研究科, 准教授 (70555234)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | Wi-Fi CSI / 無線センシング / 行動認識 / ミリ波レーダー |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢者の見守りや未病の改善などにあたり、人々の行動を認識しフィードバックを行うことが重要である。プライバシの懸念が少なく、デバイスを身につける必要が無いことから、Wi-Fi CSI (Channel State Information)を用いて、人の行動を認識する手法が注目されている。しかし、電波は周辺の壁や物による反射の影響を受けるため、CSI による行動認識は環境が変わると利用できないという本質的な課題がある。 本研究では、5Gで注目を集めるミリ波をレーダーとして利用し、見通し範囲に限られるが、取得した点群から人体姿勢を推定し、高精度に行動を認識する。同時に、Wi-Fi デバイス間でCSI を取得し、ミリ波レーダーによる行動認識結果を併用した深層学習によって環境に依存しない特徴量の抽出を試みる。これによって、行動認識モデルが自律的に構築されるブートストラップ機構の開発を目指す。 初年度は、本研究の目的達成のため、研究項目(a) ミリ波行動認識技術の開発,および研究項目(b) 環境非依存な行動認識モデル構築法の開発に取り組む。初年度は手動でのラベル付けにより研究項目(b) のCSI からの環境非依存な特徴量抽出の検討を中心に研究を実施し、初期検討データの収集・解析および目的達成にあたっての課題整理を行った。特に、送受信機の位置関係を環境の違いとして定義し、見守りを想定した立つ、座る、寝るなどの6種類の行動の認識を対象に、初期検討データを用いた予備実験を行った結果、送受信機の位置関係の違いが行動認識性能に大きな影響を与えることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各研究項目に対し,初年度で予定していた初期データ収集や,環境変化の影響調査を完了することができており,当初の予定から大きく逸脱することなく,研究計画を遂行できている.したがって,おおむね順調に進展していると判断する.
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は,研究項目(b)について,送受信機や人の位置関係を固定し,室内の家具のレイアウトを変えるなど,環境要因を限定したうえで,環境非依存な特徴量の抽出を試みる.特徴量抽出器を学習する際に,送受信機や人の位置関係を同時に出力させるよう,学習するなどの工夫を検討する.さらに,対象環境で少量の学習データを収集可能な場合を仮定し,転移学習によって特徴量抽出器はそのままで行動認識モデルを学習した際の性能評価も進める. また,研究項目(a)のミリ波レーダーを用いた行動認識については,点群やドップラーシフトなどのミリ波レーダーから得られるデータを入力とした深層学習による行動認識モデル構築に取り組む.その際,人体姿勢を入力とした行動認識モデルは映像を用いた手法が多数提案されているため,まず点群から人体姿勢を推定することで,既存の人体姿勢に基づく行動認識モデルの利用を検討する.あわせて,人体姿勢の推定を行わずにミリ波レーダーのデータから直接行動を認識した場合との比較を行い,ミリ波レーダーを用いた行動認識モデルの適切な設計方針を検討する.研究室環境で初期データを収集し,手法の設計を行うとともに,一般的な一人暮らし家庭におけるWi-Fi CSIを用いた見守りの実証実験の準備に着手する.このため,遠隔で継続的なデータ収集を行うモニタリングシステムを構築する.これらの研究活動を通じて得られた成果は国内研究会や国際会議,論文誌などで発表する.
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Research Products
(2 results)