2022 Fiscal Year Annual Research Report
Power-Saving Methods for Blockchain in Layered Environments
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22H03589
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松浦 幹太 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (00292756)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ブロックチェーン / 暗号通貨 / 高機能暗号 / 秘密計算 / 作業証明 / 検証証明 / スマート契約 |
Outline of Annual Research Achievements |
多層環境のブロックチェーンにおいて、検証証明技術を省電力化に応用する手法を構築するための理論研究を行った。具体的には、採掘者として単独の採掘者だけでなく採掘プールという緩やかに協力して採掘する集団が混在するなどして「ノードが階層化している環境」と、高速化のためにレイヤー2と呼ばれるサブシステムを導入するなどして「プロトコルが階層化している環境」を考えた。 前者に関しては、採掘プールが存在せず全ての採掘者がそれぞれ単独で採掘している場合の計算時間によってノード単位の電力消費が代弁されるというモデルを用いることにより、各採掘プールの参加者数と1ブロックあたりのトランザクション数をパラメータとして全体の電力消費を推定できる可能性が高いことが分かった。この理論研究は、研究室単独で行った。 後者に関しては、サブシステムを無視したメインシステムの電力消費削減だけでもインパクトのある削減率になることを示すことによって、サブシステムに対しても検証証明技術への対応を促す効果が得られる可能性が高いことが分かった。この理論研究は、アカデミア以外も含む異なる種類のステークホルダーが集う国際フォーラムにおける討論の機会を活用して実施した。また、理論を検証する基礎実験を実施し、提案技術導入による副作用が無視できることを確認した。さらに、サブシステムの中でも実世界との橋渡しとなる革新的な技術である「モノの電子署名(物体に署名する手法)」の体系や、悪性なスマートコントラクトとの関係、また、匿名性強化技術の影響を研究することによって、次世代のブロックチェーンに対する検証証明技術の適用可能性も検討した。これらの成果の一部を国際会議で発表した。当該発表は成功し、会議後にedited bookに掲載される選奨論文につながった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた学会での成果発表をすることができた。また、理論研究の進展だけでなく、基礎実験による検証でも成果が出始めた。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度に行った基礎実験を発展させ、多層環境での検証を行う。その際に、実験と理論(モデル化)を活用したエミュレーションの手法を検討する。また、本格的な評価において有効性を検証するブロックチェーン応用として適切な高機能暗号技術を選び、その理論研究の完成度を高める。その際、当研究室が携わっている他のプロジェクトとの連携も検討する。
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