2022 Fiscal Year Annual Research Report
新規漂流型時系列クリーン採水システムによる南極海と北太平洋のHNLC海域比較研究
Project/Area Number |
22H03726
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
杉江 恒二 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(地球表層システム研究センター), 研究員 (00555261)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗栖 美菜子 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海洋機能利用部門(海底資源センター), 研究員 (80880864)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 鉄 / 時系列クリーン採水器 / HNLC / 植物プランクトン / 栄養塩 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は,本研究達成のための鍵となる機材(クリーン時系列採水器並びにチタン製フレーム)を購入し,測器の動作確認など,操作の習熟を行った。また,次年度に実施予定の漂流観測のための漂流系の設計(構成,強度の計算,洋上での通信手段)を行い,そこに必要な金属汚染の無い機材を新たに作成した。 高感度ICP-MSによる鉄分析の精度向上のために,①内部標準の活用によるドリフトの補正法の検討,②海水試料の脱塩の際の流路の汚染リスクの低減,③粒子態の試料の処理における夾雑元素の低減方法や溶解させる酸の濃度の検討した。①では,原子量68以下の元素にはSc,それ以上の元素にはInを内部標準に用いることでベースラインや塩類の蓄積による感度変化の補正を行えるようになった。②では,脱塩・濃縮のカラムを横置きから縦置きになるように流路を変更することで,溶離液のNa濃度を約3割低減させることに成功した。③では,溶解して乾固させた試料の再溶解に用いる硝酸の濃度を2 mol/Lから0.3 mol/Lに薄くすることでICP-MSのS/Nを向上させる結果を得た。 また繰越金を用いて,PFA樹脂製品等を2023年度に取得し,当初計画の通り,製品を構成するパーツの材料毎に適した酸洗浄を完了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度計画に実施予定であったが,資材不足によって入手不可能であった製品の購入と酸洗浄について,2023年度に完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度末の「しらせ」南大洋航海に向けて,機材の調整,酸洗浄を実施する。時系列採水器の強みは多くの試料を得られる点にあるが,その分洗浄作業にかかる時間が膨大になることを研究を遂行する上での注意点として記しておく。
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