2022 Fiscal Year Annual Research Report
Exploring the causes of fish containing high concentrations of radiocesium
Project/Area Number |
22H03729
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小豆川 勝見 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (00507923)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀 まゆみ 東京大学, 教養学部, 特任助教 (50782869)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 放射性セシウム / 帰還困難区域 / 線量計 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、福島第一原子力発電所事故に伴って環境中に放出された放射性物質が原因で発生する諸問題の中で、「なぜ高濃度・基準越えの魚が発生するのか」を解明することを目的として、5か年計画で以下の3つの観点を挙げている。1.線量率が空白地帯になっている山間部における常時観測可能な線量計の設置,2.淡水魚・海水魚およびその環境(餌・堆積物)の年間を通じた連続採取・測定の実施,3.チェルノブイリ(チョルノービリ)原発周辺の魚類との比較である。 本年度は上記1,2の視点から、帰還困難区域内の山間部をはじめ公設のモニタリングポストが設置されていないエリアを中心に住民、役場の協力をいただいて10か所に線量計を設置し、リアルタイムで観測を開始して動態を追い始めている。特に山間部の尾根に設置した線量計では、10か月間にわたり連続して空間線量率を観測した結果、降雨などの日々の変動を越えて物理的半減期以上に空間線量率が減少し、除染基準(毎時0.23マイクロシーベルト)に到達する時期を具体的に推定することができた。さらに大熊町内を定期運行するバスにも線量計を設置したことで、住民が利用するバス路線の空間線量率の変動をこれまでにない高精度で観測できている。 また、魚類に含まれる放射性セシウムの特異的濃縮を明らかにするために,膨大な試料のガンマ線分析を行う必要があることからGe半導体検出器にU8容器50検体を連続で搭載可能なオートサンプルチェンジャーを導入した。これによって手動測定と比較して10倍程度の高速化を実現し、当初の目的であったサンプル処理を行うめどがついた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、各地点の線量計の設置およびGe半導体検出器用のオートサンプルチェンジャーの導入など当初計画していた通りに研究が進捗している
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Strategy for Future Research Activity |
1年目に研究環境を構築することを達成したため、次年度は環境試料を本格的に測定し統計を出すことを来年度の目標とする。予察的に植物試料に対して行った測定では、帰還困難区域内に自生するキウイに対して300程度の測定を行い、平均値、分散といった統計を算出することができた。2年目はこれを淡水魚及び海水魚に発展させる計画である。
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