2022 Fiscal Year Annual Research Report
Genetic basis of individual radiosensitivity for medical radiation protection
Project/Area Number |
22H03742
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
松浦 伸也 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (90274133)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿久津 シルビア夏子 (AkutsuSilviaNatsuko) 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 助教 (10822299)
宮本 達雄 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (40452627)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 放射線感受性 / 個人差 / ゲノム編集 |
Outline of Annual Research Achievements |
高線量の放射線被ばくが発がんリスクを有意に増加させることが、広島・長崎の原爆被爆者疫学調査により明らかにされた。この結果に基づいて国際放射線防護委員会(ICRP)は、公衆に対して放射線被ばくの線量限度を設定するよう各国に勧告した。一方、医療放射線被ばくには線量限度は定められていないが、頻回のX線やCT検査が発がんリスクを増加させることは確実なため、医療現場においても放射線防護の最適化が必要である。 健常者集団には放射線感受性が高い人が含まれており、そのような人は頻回なX線やCT検査などの医療放射線被ばくによって、発がんリスクが増加することが懸念される。放射線のリスクを最小限に抑えながら有効性を高めるためには、放射線感受性の個人差をより深く理解する必要があるが、その遺伝基盤は未だ解明されていない部分が多い。 研究代表者らはこれまで、放射線感受性の候補遺伝子変異を導入したヒト培養モデル細胞を作成して、染色体の大量画像データを取得することで、交絡因子や遺伝的背景の影響を受けない放射線感受性個人差の高感度な定量的評価法を開発した。この手法を用いて、放射線感受性の遺伝素因に関する基礎的データを収集した。 本研究では、代表的な遺伝病のヘテロ保因者モデル細胞とマウスを作成して、放射線感受性を相互に比較することにより、ヘテロ保因者の発がん感受性が、遺伝病の高発がん性によって明確に区別できるかどうかを明らかにする計画を立てた。初年度では、MRE11Aを原因遺伝子とするAT様疾患の患者EB株化リンパ球を入手するとともに、ゲノム編集法によるヒト培養細胞、ならびにマウス線維芽細胞のモデル細胞を樹立することに成功した。今後、微小核形成率を指標に放射線感受性をアッセイする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MRE11Aを原因遺伝子とするAT様疾患の患者EB株化リンパ球を入手するとともに、ゲノム編集法によるヒト培養細胞、ならびにマウス線維芽細胞のモデル細胞を樹立したことから、研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
放射線による発がん感受性の遺伝素因を証明するためには、モデル細胞の作成だけではなく、モデル動物を作成して発がん感受性を調べることが重要である。これまでに、Mre11Aノックインモデルマウスを作成済みであり、今後、モデル細胞の微小核形成頻度を調べるとともに、モデルマウスの発がん感受性を測定する予定である。
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