2023 Fiscal Year Annual Research Report
Immunotoxicity assessment of nanoparticles and development into risk analysis
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22H03749
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
東阪 和馬 大阪大学, 高等共創研究院, 准教授 (20646757)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ナノ粒子 / 免疫毒性 |
Outline of Annual Research Achievements |
我が国のナノテクノロジー研究は、開発・実用化の点で世界をリードしており、従来素材と比較して、優れた有用機能を有するナノ粒子が続々と産み出されている。しかし、その安全性評価は未だ十分とはいえず、より一層の安全性評価・確保が待望されている。そこで本研究では、免疫毒性学的観点からのナノ粒子のリスク解析基盤の構築を目的に、ナノ粒子の免疫毒性影響評価と曝露実態情報の集積を試みる。本年度は、身の回り品における使用量が最も多い非晶質ナノシリカをモデルナノ粒子として用い、非晶質ナノシリカの鼻腔を介した吸入曝露が抗原特異的免疫応答に及ぼす影響を評価した。前年度までに、非晶質ナノシリカの鼻腔を介した吸入曝露により、粒子径の減少に伴って、全身及び鼻粘膜における抗原特異的IgGの増大傾向を引き起こすことを見出した。そこで、非晶質ナノシリカを抗原と共に経鼻曝露した際に誘導された免疫応答の特性を明らかにするため、血清中の抗原特異的IgGサブクラスの産生量を測定し、非晶質ナノシリカの経鼻曝露による全身のTh1/Th2細胞誘導能を評価した。その結果、いずれの非晶質ナノシリカ共投与群において、抗原特異的IgG2aの産生が認められなかった一方で、非晶質ナノシリカの粒子径の減少に伴って、有意な抗原特異的IgG1産生量の増加が認められた。従って、非晶質ナノシリカの粒子径の減少に伴って、全身におけるTh2細胞優位な抗原特異的免疫応答が誘導されることが示唆された。一方で、脾細胞の抗原再刺激によるサイトカイン産生を評価したところ、抗原特異的Th2細胞の誘導は認められなかった。従って今後、免疫惹起後のサイトカイン産生が認められなかった原因を探り、非晶質ナノシリカの経鼻曝露による抗原特異的Th2細胞の誘導を精査する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画した内容に沿って、研究が進行しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、どのような素材・物性を有するナノ粒子が免疫毒性を引き起こすのかを明らかとするため、様々な素材・物性のナノ粒子を供し、標準的毒性試験からナノ粒子が免疫撹乱作用を呈する可能性について評価することで、ナノ粒子が免疫毒性におよぼすハザード解析と毒性発現を規定する因子の探索を試みる。
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Research Products
(2 results)