2022 Fiscal Year Annual Research Report
Profiling of ecotoxicity to marine organisms caused by eluate of bioplastic productof bioplastics
Project/Area Number |
22H03764
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
山本 裕史 国立研究開発法人国立環境研究所, 環境リスク・健康領域, 副領域長 (60380127)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 大介 国立研究開発法人国立環境研究所, 環境リスク・健康領域, 室長 (10281411)
渡部 春奈 国立研究開発法人国立環境研究所, 環境リスク・健康領域, 主任研究員 (00620395)
山岸 隆博 国立研究開発法人国立環境研究所, 環境リスク・健康領域, 主任研究員 (30379333)
日置 恭史郎 国立研究開発法人国立環境研究所, 環境リスク・健康領域, 主任研究員 (10792913)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | バイオプラスチック / 海産藻類 / 生態毒性 / 紫外線劣化 / 溶出液 / カイアシ |
Outline of Annual Research Achievements |
海洋プラスチックの水生生物などの影響が懸念される中で、バイオプラスチック(バイオマスプラスチックおよび生分解性プラスチック)への代替が進んでいる。これらのうち、市販されており、レジ袋有料化政策の後でも無料で入手できる25%以上がバイオポリエチレンを含むレジ袋を対象とした。このレジ袋を約1㎝角に裁断し、紫外線ランプを3日間照射して劣化させ、比較のため紫外線劣化させない試料も別途用意して人工海水中で4日間撹拌した後、メンブレンフィルター(0.45 μm)でろ過して溶出液(10 g/L)をそれぞれ作成した。また、新たに導入した疑似太陽光ランプを用いて劣化の予備試験を実施した。 この溶出液について、『海産、汽水生物を用いた慢性毒性短期試験法(検討案)』(国立環境研究所ほか、2021)を参考にして、海産ラン藻Cyanobium sp.(NIES-981)、海産緑藻 Dunaliella primolecta (NIES-2256)、および海産珪藻Phaeodactylum tricornutum(NIES-4392)の3種を用いて、溶出液を指定されている培地で80~5%まで希釈して、藻類藻類生長阻害試験を実施した。また、カイアシについても、同様の試験を実施した。 その結果、海産ラン藻について最も強い生態毒性が検出され、80%で阻害率が紫外線劣化の有無にかかわらず約20%程度、40%の溶出液でも有意な生長阻害が確認された。なお、海産緑藻・海産珪藻についても80%の溶出液のみ生長阻害が確認されたが、阻害率は2~6%程度とそれほど大きくなかった。カイアシについては、試験実施した範囲では生存や変態に変化は認められなかった。また、溶出液について、ICP-MSによる金属分析と固相抽出を行い、GC-MSを用いてフタル酸エステルなどの可塑剤や添加物の定量を試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
紫外線劣化についてランプのエネルギーが不十分であり、新たに装置の購入を行うこととなったが、現状の装置で3種の海産藻類、カイアシを用いた試験を実施することができた。また、繰越を行ったことにより疑似太陽光ランプを用いた劣化の予備試験まで完了することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
疑似太陽光ランプを用いた劣化実験の予備試験までできたことから、今後、さらにレジ袋に限らず、ストローについて、またバイオマスプラスチックだけでなく、生分解性プラスチック製も含め、順次、太陽光を照射後に生態毒性試験を実施する。なお、海産ラン藻、珪藻、緑藻ならびに海産甲殻類(カイアシ)を用いて生態毒性が検出された場合は、ICP-MSによる金属分析に加えて、マルチターゲットのGC-MS分析を実施し、毒性原因物質の同定評価を実施する予定である。
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