2022 Fiscal Year Annual Research Report
化学物質のシグナルかく乱作用を基にした新規in vitro催奇形性評価原理の解明
Project/Area Number |
22H03767
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
大久保 佑亮 国立医薬品食品衛生研究所, 毒性部, 主任研究官 (80596247)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 芳浩 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究グループ長 (10291080)
平林 容子 国立医薬品食品衛生研究所, 安全性生物試験研究センター, センター長 (30291115)
福田 淳二 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 教授 (80431675)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 催奇形性 / シグナルかく乱 / リアルタイムルシフェレースアッセイ / 動物実験代替法 |
Outline of Annual Research Achievements |
現行の動物を用いた催奇形性試験は、種差による検出感度の低さゆえに人的・時間的・金銭的コストがかかる。そのため、長年使用されてきた化学物質や低生産量の化学物質は、十分に催奇形性が評価されないまま使用されているのが現状である。この問題を解決するために、ヒトの発生毒性を高精度かつハイスループットで評価可能な動物試験代替法の開発が期待されている。 これまでに我々は胎児が少数のシグナル伝達の相互作用により精巧に形作られることに着目し、化学物質によるFGFシグナルのかく乱作用の動的変化に基づいた、ヒトiPS細胞を用いた新規のin vitro催奇形性検出法を開発してきた。本法はリアルタイムルシフェレースアッセイを用いて、FGFシグナルのかく乱作用を評価することで、高い正確度とスループット性を実現している。本研究では、試験法の検出感度の向上及び分子機構の解明を目的とする。 本年度は、FGF以外のシグナルとして、Wnt、TGF-b(Activin)、BMPのレポーター細胞を樹立した。WntシグナルはTCF/LEF transcriptional response elementを、TGF-β (Activin)シグナルはSmad binding elementを、BMPシグナルはBMP response elementを用い、それぞれの下流でNanoLucを発現するレポーターコンストラクトをAAVS1 locusにノックインした。また、リアルタイムルシフェレースアッセイ法の改良も行った。従来の24時間の定点測定法に代わって、60時間以上の連続した連続測定法を開発した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
お本年度は、計画していた3種類全てのレポーター細胞を樹立した。また、Wntシグナルに関しては、活性化に必要なリガンドを検討し、その組み合わせを決定した。さらに、60時間以上の連続したリアルタイムルシフェレースアッセイに必要な培養条件、測定条件を検討し、試験条件を決定した。研究計画全体に必須の細胞の樹立及び試験系の確立が初年度に終了したことから、「(2)順調に進展している。」とした。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、ECVAM(欧州代替法バリデーションセンター) validation study on in vitro embryotoxicity tests (Genschow et al., 2002)に記載されている化学物質18種類+陰性物質5種類を、連続したリアルタイムルシフェレースアッセイにて評価する。かく乱作用を検出するシグナルとして、FGFシグナル及びWntシグナルを予定している。最終年度に試験法の検出機構を明らかにするために、トランスクリプトーム解析を予定している。そのための実験の条件検討を行う予定である。
|
Research Products
(8 results)