2023 Fiscal Year Annual Research Report
Understanding of Stabilization Mechanism of Toxic Metal by Geopolymer Solidification and Its Practical Application
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22H03772
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高岡 昌輝 京都大学, 工学研究科, 教授 (80252485)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日下部 武敏 大阪工業大学, 工学部, 准教授 (40462585)
塩田 憲司 京都大学, 工学研究科, 技術職員 (50536563)
大下 和徹 京都大学, 工学研究科, 准教授 (90346081)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ジオポリマー / セレン / ヒ素 / 木質バイオマス |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、まず、Se及びAsをジオポリマーにより不溶化する条件を探索するため、1)酸化還元電位調整による固体領域の創出(還元剤ヒドラジンの添加)、2)非晶質構造への取り込み(サンプルの液固比の調整)、 3)サンプルのSi/Al比の変化によるジオポリマー構造の変化といった3つのアプローチを行い、溶出試験、XRD分析、XAFS分析などから、SeとAsの溶出性、結晶構造及び化学形態を調査した。 酸化還元電位調整においては、SeのpH-電位図から、ヒドラジンがSe(Ⅳ)に対する還元性があると推察される一方、ヒドラジンだけではAs(V)を還元することが難しいことがわかった。XAFSの分析結果から、ヒドラジンの添加がジオポリマー中Seの形態変化に影響を与え、Seを還元する効果が確認できた一方、ヒドラジン添加したジオポリマー固化によってAsとSeを不溶化することは困難であった。 サンプルの液固比を調整して、非晶質構造が主体になる条件を調査し、Se及びAsのジオポリマーによる不溶化傾向との関係を調べたが、非晶質構造の増加と溶出とは関係性が認められなかった。 Si/Al比の変化がSeとAsの溶出性に与える影響を調べた結果、SeではSi/Al比が低くなると、溶出率が低下する傾向が見られた。Si/Alが2.0から1.5に低下すると、溶出率が90%以上から20%程度に大幅に減少した。また、XRDの測定結果により、Seに不溶化効果のあるSi/Al=1.5、1.2と1.0のサンプルには全てSodaliteと思われるピークが検出された。 産業副産物利用として木質バイオマス燃焼灰の数を増やして、含有量試験及び溶出試験を実施した。各元素の溶出率について、Asは2%程度であったが、Seの溶出率が25%を超えていた。木質バイオマス燃焼飛灰中のSeが環境に溶出しやすく、環境へのリスクポテンシャルが高いと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、Se、Asのオキソアニオン、特にSeの溶出が制御しにくいことから、この不溶化対策及びそのメカニズム解明に取り組み、一つのファクターを見出した。完全に不溶化のメカニズムは解明できていないが、それは最終年度に取り組むことにする。 また、近年、再生可能エネルギー導入促進のため急激に増加している産業副産物である木質バイオマス燃焼灰について、多くのサンプルを収集し、分析してデータを蓄積できた。一部、当初予定事項の進捗に濃淡はあるが、概ね順調と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策として、2023年度までに見つけたファクターについて、なぜオキソアニオンが不溶化するかのメカニズムを解明していくことをまずは実施する。XAFSによる化学状態解析を行う予定であるが、実際の飛灰中のSe、As濃度は極めて低い(数~数十ppm)であるため、理論モデルの適用は難しいが、標準試薬を使用したサンプルを作成して、FEFFによるシミュレーションを行い、考察を実施する予定である。また、ジオポリマーの製造方法については微小熱量計の適用についても、基礎的な部分(アルミノケイ酸塩の溶解)から実施していく予定である。最終的に、木質バイオマス燃焼灰も含めた産業副産物や廃棄物を利用して、都市ごみ焼却飛灰中重金属の不溶化をできる限り低コスト及び低CO2排出量で実施できるように最適化を行い、本技術を評価する。
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