2022 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of Mechanisms for Establishing Highly Selective Separation Technology Using Electrical Pulses as an External Stimulus
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22H03783
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
所 千晴 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (90386615)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小板 丈敏 早稲田大学, 理工学術院, 講師(任期付) (00750192)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 資源循環 / プラスチック / リサイクリング / 可視化 / 電気パルス |
Outline of Annual Research Achievements |
電気パルス法を用いたプラスチック接着体の解体を系統的に検討するために,安定した接着強度を有するプラスチック接着体の作成方法を習得するとともに,電気パルス現象をシャドーグラフ法を用いて可視化する高速度カメラでの観測システムを構築した. プラスチック接着体として,アクリル板とポリカーボネート板の界面に,溶剤である二塩化メチレンを銀線とともに塗布した試料片を用意した.パルス放電回路で細線に電気パルスを印加し,細線を爆発させることによる接着解体現象を観察した.静電容量2.4μF,充電電圧5.5kVでは解体しなかったが,20kVの充電電圧では解体した.解体時には接着面には銀は残存していなかった.その時の電気パルス現象を観察したところ,20kVでは爆発した細線が気化してガスが膨張し,その膨張力によって接合した樹脂材料の界面で分離が発生したことがわかった.COMSOLを用いた電流伝熱シミュレーションの結果から,20kVの電気パルスを印加すると,局所的に銀細線内部,銀細線周囲の温度が上昇し,その温度は最大2600Kとなり,銀の沸点である 2400K以上に達したことから,銀細線は電熱によって融解して液体となり,蒸発して気体となって銀細線が体積膨張していることが示唆された。高速度ビデオカメラを用いた可視化画像からも,気化した銀線のガス膨張が周囲に応力・変位を及ぼしたことが分かり,気化した銀線のガス膨張が異種樹脂接着体の分離を発生させることが分かった. 以上より,電気パルスを利用して異なるプラスチックの接着体を界面で分離するには、接着面に金属細線を置いて接着し電気パルスを加えることで細線にジュール熱が発生し,細線を気化させて細線内のガスを膨張させることが有効であることが確認された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで困難であったプラスチック接着体の解体に対して,電気パルスによる細線爆発現象を用いた解体が有効であることを確認し,その機構を定量的に把握することができたため.
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Strategy for Future Research Activity |
プラスチック接着体の解体に対しては,細線の設置以外に,接着界面に対して電気パルス現象を発生させるための方法を探索検討する.例えば,導電性粒子の塗布や,接着剤そのものに導電性を持たせることなどが考えられる. また,プラスチックと金属との接着・接合体に対して,電気パルス法による解体が有効であるかどうかについて,探索検討する. 以上について,電気パルス法が有効であると確認された場合は,その分離現象を,シャドーグラフ法を用いた可視化や電界シミュレーションを用いて定量的に機構解明する.
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