2023 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of Mechanisms for Establishing Highly Selective Separation Technology Using Electrical Pulses as an External Stimulus
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22H03783
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
所 千晴 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (90386615)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小板 丈敏 早稲田大学, 理工学術院, 講師(任期付) (00750192)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 資源循環 / 物理選別 / リサイクリング / 可視化 / 電気パルス |
Outline of Annual Research Achievements |
SUSやアルミニウム、CFRPの組み合わせでJIS実験法に沿った接着試験片を作成し、水中および気中での電気パルス分離試験を遂行した。その結果、電気パルス条件の調整によって水中では安定した分離に至るものの、気中では沿面放電が発生し、安定した分離には至らないことが確認された。そこで、接着強度を下げるために、浸漬前処理などを実施したところ、条件によっては電気パルス分離が促進したが、さらに安定した分離を達成するためには、接着内部への安定した放電が必要であることが確認された。 接着内部への安定した放電を達成するために、試験片にノッチ構造を導入したところ、ノッチ部分が安定した内部放電をもたらし、電気パルスによる安定した分離を達成した。電圧シミュレーションによって、安定した内部通電をもたらすためのノッチ構造を定量的に把握することも可能であった。また,接着内部に鉄球を導入することによっても、安定した分離が達成された。これは、鉄球と試験片との界面に生じる抵抗によって周辺がプラズマ化することによる膨張が分離力となっていることが確認された。 さらに、電気パルス法によるCFRPの分離も試みた。CFRPの分離ではやはり沿面放電が生じるが、カーボンファイバーの配向方向によっては一部、内部放電も生じ、その内部放電がカーボンファイバーの分離やCFRPシート間の分離を達成することが確認された。X線CTスキャン分析などによって、放電経路や分離機構を空間的に把握することが可能であった。しかし、その分離は限定的であったため、CFRPの安定した分離のためには、さらなる機構解明と電気パルス条件等の精査が必要であることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SUS材やアルミニウム材、CFRPといった、軽量化のためのマルチマテリアルに多用される材料へ対象を広げ、電気パルスによる分離の特徴と課題を整理できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までの検討によって、電気パルスによる安定した分離に対して課題が認められたCFRPを主たる対象として、電極形状、電圧、抵抗等の電気パルス条件の探索や、電気パルス放電時の昇温、プラズマ化物質などのさらなる定量的把握によって、分離機構の詳細な解明と安定した分離のためのプロセス開発を実施する。CFRPはカーボンファイバーの配向や本数が異なるシートが多層に積層された複雑な構造を有するため、機構解明のための基礎検討には、カーボンファイバーの本数や配向が揃った試験片を別途用意することも検討する。また、分析手法としても、前年度までに確立した高速カメラによる可視化手法のみならず、高速サーモグラフィーやプラズマ分光分析などを導入して、さらなる定量的な分析を試みる。
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