2023 Fiscal Year Annual Research Report
Biodiversity-based solutions for managing changes in ecosystem functioning caused by aridification and livestock grazing
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22H03791
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
佐々木 雄大 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 教授 (60550077)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鏡味 麻衣子 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 教授 (20449250)
瀧本 岳 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (90453852)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 生物多様性 / 生態系機能 / 植物ー微生物相互作用 / 乾燥化 / 気候変動 |
Outline of Annual Research Achievements |
モンゴルの草原では、乾燥化と放牧強度の増大による草原の生態系機能の低下が危機的な状況にある。本研究は、乾燥度の異なるモンゴル全土に広がる多数サイトにおける生物多様性と生態系機能の関係の機構を解明し、草原の生態系機能を維持するために、生物多様性のどの種群や機能群をどの程度保全するのか、その保全努力はどの地域で必要とされるのか、という保全実践に伴う未解決課題に答え、生物多様性に根ざした汎用性の高い草原管理手法を示すことを目的としている。 モンゴル全土に広がる48の気象観測サイトが調査対象である。モンゴルでは、南と西に行くほど、乾燥度(1-降水量/可能蒸発散量:高い値ほど乾燥)が高くなる。各サイトには家畜の侵入を防ぐ禁牧柵(30m×30m、観測機器の保護目的)が50年以上設置されており、放牧の植生への長期効果を比較検証できる。 2023年度は、主にモンゴル東部地域を中心とした、計11サイトにおいて、植物・微生物の組成、家畜フン数(柵外の放牧強度の指標)を調査した。また、2022年度に極端少雨の影響で調査ができなかったモンゴル南部の一部サイトを再訪し調査を行った。生態系機能として、地上部バイオマスおよび植生被度、地下部バイオマス、物質の分解機能、土壌呼吸の計5種類の機能を調査した。さらに2023年度は、2022年度内に採取した土壌微生物コアサンプルを用いて、DNAメタバーコーディングを行い、真菌および細菌の群集組成を調査した。これまでに得られたデータで、生態系機能に対する植物および真菌・細菌の多様性の効果に乾燥度依存性が見られるかについて、予備解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度内に予定していた地域のサイトの調査を完了することができた。また、2022年度内において気象要因により調査が実行できなかったサイトの調査も、2023年度に完了した。データが順調に蓄積されている。予備解析を含め、本課題に関連するテーマでの論文の作成・投稿も順次進めており、順調に課題を推進している。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、モンゴル西部地域において、2022・2023年度と同様に、生物多様性の調査、生態系機能の測定を行う予定である。全てのデータが揃い次第に、①放牧-生物多様性-生態系機能の関係の乾燥度依存性の解明と生態系機能の維持に必要な種および種数の特定、②生物多様性による生態系機能への効果の乾燥度依存性のメカニズムの理論的解明、についての論文を完成させ、学術誌に投稿する。
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Research Products
(12 results)