2023 Fiscal Year Annual Research Report
Effects of Altruism on Purchase Behavior for Green Bond
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22H03808
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
有賀 健高 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 教授 (90589780)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | グリーンボンド / サステイナビリティボンド / ブルーボンド / 仮想評価法 / 環境意識 / 利他的意識 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年8月31日から9月1日にかけて、関東および関西の都市部在住の個人投資家を対象に、グリーンボンド、サステイナビリティボンド、およびブルーボンドに関する投資意欲を把握するためのアンケート調査を実施した。この調査では、二段階二肢選択の仮想評価法(CVM)を用いた。最終的に、各ボンドについて有効回答者1400人分のデータサンプルを収集した。また、利回りの違いが投資意欲に与える影響を把握するために、投資した場合の利回りが円建てよりも高い米ドル建てのボンドに対する投資意欲についても調査した。
アンケート調査により得られたデータを元に、各ボンドに対する支払意思額(WTP)を推計しました。その結果、グリーンボンドやブルーボンドのように、使途が明確に環境負荷の軽減に結び付くボンドの方が、環境負荷以外の要素も含むサステイナビリティボンドよりも高いWTPが示された。また、投資家の環境意識や利他的意識が、分析された三つのボンド全てにおいて正の影響を与えることが明らかとなった。これにより、社会的責任を持つ投資家は環境ボンドへの投資に前向きである可能性が示唆された。各ボンドが円建てかドル建てで発行されたかの違いによる各ボンドへの投資意欲の違いについては、あまり大きな差はみられなかった。
以上の結果から、環境負荷に貢献する環境ボンドを発行する際には、グリーンボンドやブルーボンドのように、資金の使途が環境負荷の軽減に直接結び付くことが重要である可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は、グリーンボンドに対するアンケート調査を実施するところまでが当初の目的であったが、グリーンボンドにとどまらず、サステイナビリティボンドやブルーボンドについてのアンケート調査も実施し、三つのボンドの比較まで行うことができたため。さらに、本年度実施した環境意識に関する項目の調査では、災害対策、道路・衛生設備・下水道といったインフラの整備や所得及び貧困の是正といった要素も含め、より広義の環境意識に関わる項目についてもアンケート調査に盛り組むことができたため。
また、本年度は債権の格付、発行体、第三者認証といった各債券に付随する要素が投資家の環境ボンドに対する投資意欲にどう影響するかを分析するために、選択実験に関するアンケートについても実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
一般の人にもグリーンボンドに対する投資家の投資意欲に関する現状を広く伝えるために、2年目に実施したアンケート調査を使用した書籍を執筆する予定である。この書籍では、まず、グリーンボンドの定義や発行状況の概要などを説明し、その後、日本の一般投資家がグリーンボンドに対してプレミアムを見出しているのか、どのような要素をもとに投資を検討しているのかといった点を中心にまとめたいと考えている。
さらに、2年目の最後に実施したグリーンボンドの中身が投資に与える影響を把握するために収した選択実験のアンケートデータをもとに、グリーンボンドを発行する際にどのような要素が求められているのかという点について検証する予定である。
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Research Products
(8 results)