2022 Fiscal Year Annual Research Report
Valuation and conservation of urban ecosystem services under changing population structure
Project/Area Number |
22H03813
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
佐藤 真行 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (10437254)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丑丸 敦史 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (70399327)
源 利文 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (50450656)
内山 愉太 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 助教 (00710766)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 生態系サービス / 生物多様性 / 人口構造 / 経済評価 / 保全政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は人口変動下における都市生態系サービスの評価を行い,保全政策を論じるものである。本年度は人口拡大都市を対象とし,東京(23区部),横浜市,大阪市,神戸市を事例に都市生態系の利用実態と生態系へのインパクト,および都市生態系サービスの経済評価を行った。本年は,生態系状況のデータとして土地利用や環境DNA情報を調査収集し,評価対象都市に関する生態系および生物多様性の状況を把握した。また社会経済状況のデータとして,各都市の人口や産業構造といった公開データを収集しする一方,独自に社会調査を実施し住民の都市生態系サービスの利用実態についての把握を進めた。この過程で,生態系利用の格差が存在する可能性が示唆され,都市生態系資源の有無との関連を含めた分析を行う必要が生じた。特に個人の裁量時間が自然生態系利用の格差に関連している可能性につき,関連する既存研究を踏まえて調査計画を検証し,あらためて社会調査の計画を修正した。そのため,研究費を繰り越してR5年度に調査し,格差問題を踏まえた生態系サービスの経済評価のためのデータを収集した。集約したデータセットを用いることにより,本年度に調査した人口拡大が著しい4都市に関して,それぞれの都市生態系資源の配置や社会経済状況を考慮した比較分析を行い,人口拡大都市における生態系評価要因として共通する点と相違点を整理し,生態系劣化のパターンと生態系サービスの都市別の評価を行った。また,エコヘルスや災害防止機能といった都市域特有の生態系サービスに関する研究データを得た。以上により,当初の計画を全うすることができ,2023年度以降に対象とする人口減少都市との比較へとつながった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度内に人口拡大都市に関する生態系および社会経済データの収集を行い,それらを統合したデータセットに基づいた生態系サービス評価をそれぞれの対象4都市で行う計画であった。社会経済的観点からの分析を進めている際に,所得分布や可処分時間の分布に偏りがあり,そうした格差が生態系利用および評価の格差に影響を及ぼしている可能性が示唆され,その点に関する研究の重要性が見出された。そのため,当初の計画にこうした分配面の観点を含めたデータ収集が可能な調査に修正した。それに伴い,研究費使用の繰越を伴う計画変更が生じたが,当初の研究計画で想定していた点については全うでき,さらに新たな分析視点を加えることができた。それにより2022年までの研究計画は遂行され,より明確になった研究論点のもとで次年度以降の研究につながった。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は当初の計画に基づきながら,分析すべき社会的論点を明確にすることができた。そのため2023年度は,本年度に明らかになった分配面の論点を含めつつ,当初の計画に沿って人口減少が進む地域を分析対象とした研究を行う。一方で,必要に応じてこれまで集約した人口拡大都市のデータセットを拡充しつつ,生態系サービス評価研究を完成させ学会や学術雑誌における研究発表を行う。その後,人口拡大都市と縮小都市を比較対照し,人口変化と生態系変化のパターンと生態系サービスの経済評価研究を進める。
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