2022 Fiscal Year Annual Research Report
Contemporary History of De-agrarianisation and Re-agrarianisation from the viewpoint the Socioeconomic Structure of Rural Indochina
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22H03820
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The Toyo Bunko |
Principal Investigator |
高橋 昭雄 公益財団法人東洋文庫, 研究部, 研究員 (90282706)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮田 敏之 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (70309516)
小林 知 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 教授 (20452287)
高橋 塁 東海大学, 政治経済学部, 教授 (30453707)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 脱農化 / 帰農化 / インドシナ / 農村社会経済 / ミャンマー / タイ / ベトナム / カンボジア |
Outline of Annual Research Achievements |
髙橋昭雄は,ミャンマーを訪問し、両村の全世帯の基本統計を収集して、翌年度からの本格的調査の準備をした。また、イタリアのナポリ東洋大学で講演するとともに、同大学のアジア研究者たちと交流し、イタリアにおける東洋研究に関する知見を深めた。 宮田は、タイで開催された世界米貿易会議(The Rice Trader Conference)に出席し、タイ米経済の変容を世界米貿易との関連の中で検討した。一方、東南アジアの脱農化との比較の観点から、富山市の有畜循環型自然農法で農家経営の多角化を図っている農業法人・土遊野の調査もおこない、その事業発展を地元との連携や首都圏での製品販売ネットワーク構築などの観点から検証した。国際学会や国内学会での発表も複数回行った。 小林は、2017年から2019年にかけて、ポーサット州の低地部と山地部で実施した農村世帯の生業活動に関するデータと、2021年にコンポントム州農村で実施したデータの概要を整理した。また、オンラインで最近のカンボジアの農業と農村経済の動向に関する情報収集を進めた。タイでの国際研究集会での報告も行った。 高橋塁は、(1)ベトナムにおける現地調査の準備、(2)ベトナム統計総局の家計生活水準調査(Vietnam Household Living Standards Survey)の世帯レベルミクロデータ入手の準備を進めた。これにより1992/93年から2022年までの農村変容を全国の世帯レベルで確認し、独自に実施する農村調査との比較、外的妥当性のチェックが可能となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
髙橋昭雄は、ミャンマーに出張し、運営費交付金を用いて、2つの村でWiFiの敷設を行い、リモートでの農村調査のインフラを整えるとともに、両村の全世帯の基本統計を収集して、翌年度からの本格的調査の準備をした。 宮田は、コロナ下でのタイ米経済の苦境とその回復を、あえて稲作へ特化することによって克服しようとしている、東北タイのローイエット県の農協の精米・米販売事業を通じて調査した。すなわち、帰農化の特殊形態としての米作への特化の研究を進める可能性が見えた。 小林は、現地への訪問は果たせなかったが、オンラインで研究集会を開催し、そこでの議論を通して本科研の問題意識を再検討した。さらに、カンボジアの農村に関する情報をオンラインで収集し、またカウンターパートとの打ち合わせを進めた。 高橋塁は、ベトナム中部クアンガイ省農村調査におけるコーディネーターとの調整に加え、北部、南部の農村での比較調査を可能とする下地をつくることができた。具体的にはベトナム国家農業大学(旧ハノイ農業大学)、カントー大学による協力である。またベトナム統計総局から世帯レベルミクロデータを入手する目途をつけることができた。 コロナ下で、海外出張ましてやインドシナ農村での実地調査が極めて困難な中、本科研の初年度ということもあって、オンラインを利用して、現地コーディネーターとの調整や基本的データの収集といった本格的研究の準備的作業を中心に研究を進め、それらはおおむね順調に進展したと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
髙橋昭雄は、ミャンマーの2か村にWiFiを敷設しリモートでの個別世帯調査の準備を整えたので、これを利用して脱農化および帰農化世帯の個別調査を行う。また、現地に赴いて、WiFiの利用の実態を調査するともに、対面での世帯調査を実施する。 宮田は、エネルギー価格や肥料価格の上昇によりタイの稲作農家の経営は順調とは言い難い中、稲作へ特化することにより農家と地域の経済の活性化を目指している、東北タイのローイエット県の農協の精米・米販売事業を、引き続き調査する。 小林は、カンボジアにに渡航し、2017から2019年にかけて世帯調査を行ったポーサット州農村で、新型コロナウィルス感染拡大後の現地の農業活動と農村生活の変化について視察を行うとともに、調査票を用いて、脱農化と帰農化の調査を進める。 高橋塁は、長年にわたって交渉しているベトナム統計総局の世帯レベルミクロデータを入手し、1980年代から現在までのベトナムの農村変容を詳細に分析する。また、現地の大学や研究機関との協力を模索し、本格的な農村社会経済調査に備える。 以上の4名で日本の農村を訪問調査し、日本における脱農化と帰農化の実態を調査し、その見分をインドシナ農村の社会経済学的研究に生かしたいと考えている。
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Research Products
(8 results)