2022 Fiscal Year Annual Research Report
医学応用に向けた立体角粒子検出器による核反応多重同時測定法の開発
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22H03865
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
大坪 隆 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (70262425)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 太樹 東京都市大学, 理工学部, 准教授 (30612147)
泉川 卓司 新潟大学, 研究推進機構, 准教授 (60282985)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | シンチレーション検出器 / 重粒子線 / 核反応多重同時測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
核反応多重同時測定装置のΔEカウンタとしてCsI(Tl)シンチレータに対し密度が大きく化学的に安定で、また高計数特性に優れると考えられるLYSO(Ce)シンチレータの適応性を確認するため、LYSO(Ce)のシンチレーション検出器としての性能を評価した。量子医科学研究所のHIMAC重イオンシンクロトロンからのビームを用い、重イオンビームに対するエネルギー分解能の損失エネルギー依存性及び入射位置依存性を調べた。広いエネルギー範囲を確認するため132Xe, , 50Ti 40Ca及び27Alのの一次ビームを用いてAlからGe領域の一核子当たり200-420 MeVの二次ビームを生成した。テストには50x50mm及び70x70mmのサイズについてLYSO(Ce)と比較用にCsI(Tl)、GAGG(Ce)を用いた。二次ビームラインで生成した粒子を入射前段検出器で粒子識別をしてこれらの検出器に入射した。位置情報検出のため各シンチレータは両側面に光電子増倍管を取り付けた。LYSO(Ce)については位置依存性を確認するため移動架台に設置し、±30mmの範囲でビーム位置依存性を調べた。得られた結果は60Ni二次ビームで最高分解能1.6%など、Zの大きい粒子による損失エネルギーの高い領域ではLYSO(Ce)はCsIに対し良い分解能を得た一方、損失エネルギーの低い領域では同程度となった。またLYSO(Ce)ではその光吸収特性に由来する位置依存性が確認された。得られた結果からLYSO(Ce)はΔEカウンタとして十分な能力を持っており、これを用いて核反応多重同時測定装置のセットアップに反映させる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
核反応多重同時測定装置のセットアップについて検討した結果、ΔEカウンタとしてLYSO(Ce)シンチレーション検出器を候補とすることとなり、この性能評価を行ったうえで、セットアップを行うこととなった。重粒子ビームを用いた予備実験を行い、比較検討の結果、LYSO(Ce)シンチレーション検出器を含めたセットアップとすることした。当該テスト実験及び解析のため、セットアップ構築が遅れることとなった。 また、本課題で利用予定していた量子医科学研究所HIMACの二次ビーム照射室ビームタイム募集が令和5年後半より行われず今後の見通しも不明となっていることから、他施設での実施の検討を行う必要が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
遅れているシリコンストリップ検出器の購入を行い、LYSO(Ce)シンチレータを含めた核反応多重同時測定装置のセットアップを行う。各検出器についてオフラインテストを行い、性能を確認する。 量子医科学研究所HIMACのSB2ビームラインのマシンタイム実施が不透明なことから、国内外の他施設での実施を検討し、マシンタイム申請を行う。 重粒子ビームを用いたテスト実験により性能の確認の上、核データ取得のための本実験を行う。
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