2023 Fiscal Year Annual Research Report
Study on drastic increase of extraction efficiency of oscillator type free electron laser
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22H03871
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
全 炳俊 京都大学, エネルギー理工学研究所, 准教授 (80548371)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 自由電子レーザ / 中赤外 / 高効率化 / 量子ビーム |
Outline of Annual Research Achievements |
京都大学エネルギー理工学研究所に設置された共振器型自由電子レーザ(FEL)装置(KU-FEL)ではこれまでに世界最高引き出し効率(電子バンチの持つ運動エネルギーの内、レーザのエネルギーに変換された割合)9.4%を達成している。この引き出し効率を向上させるには、FELの増幅率の向上、もしくはFEL発振に用いられる光共振器損失の低減が必要である。2023年度は2022年度に製作したチタン合金製アンジュレータ真空ダクトを設置し、計画通り最小ギャップを16.5mmから15mmに狭めることを可能とした。また、光共振器損失の低減のため、従来使用していた穴あきミラーを穴なしミラーに変更し、共振器内にエッジの鋭いミラーを挿入することで光共振器外に光を取り出すscraper out-couplingの試験を行った。結果として、scraper outcouplingにより波長11μmにおいて光共振器損失を3.9%から2.2%に低減する事に成功すると共に、光取出し用ミラーの挿入量を変化させることで、光共振器損失を2.2%から19%まで変化させられる事を確認した。引き出し効率計測の大幅な高速化を可能にすべく製作した二次電子放出を用いた多素子の電子ビーム電流計測系を開発し、シングルショットで電子ビームマクロパルス中のエネルギー分布の時間発展を計測可能な測定系を実現した。この測定系を用いて、アンジュレータギャップ15.15mm、光共振器損失2.2%、FEL発振波長11μmにおいて引き出し効率を計測したところ、最大引き出し効率は約12.5%程度であった。ただ、光取出し用ミラーの挿入量を変化させて共振器損失を4.5%まで増加させても顕著な引き出し効率低下は観測されなかった。この結果は共振器損失以外の要因で引き出し効率が頭打ちになっている可能性を示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アンジュレータ用真空ダクトをチタン合金製の物に交換することにより、最少アンジュレータギャップを15mmに狭められる様にすると共に、scraper out-couplingにより波長11μmにおいて光共振器損失を3.9%から2.2%に低減することに成功した。アンジュレータギャップ15.15mmおよび光共振器損失2.2%の条件において約12.5%の引き出し効率を観測している。光取出し用ミラーの挿入量を変えて光共振器損失への依存性についての調査も実施しており、光共振器損失以外の要因で引き出し効率が制限されている可能性が示唆されている。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は曲率半径を最適化した光共振器鏡を用いて更に自由電子レーザ増幅率を向上させ、引き出し効率の更なる向上を目指す。また、引き出し効率の光共振器損失やアンジュレータギャップへの依存性をより詳細に調査し、共振器型自由電子レーザの引き出し効率と光共振器損失およびFEL増幅率との関係について系統だったデータの取得とその理解を目指す。
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