2022 Fiscal Year Annual Research Report
Development of the medical 211At production method by RI-beam
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22H03878
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
園田 哲 国立研究開発法人理化学研究所, 仁科加速器科学研究センター, 技師 (60525583)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富田 英生 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (20432239)
羽場 宏光 国立研究開発法人理化学研究所, 仁科加速器科学研究センター, 室長 (60360624)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | アスタチン211 / 放射性薬剤製造 / レーザー共鳴イオン化 / ガスセル / 同位体分離 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、近年注目されている新しい放射性薬剤であるアスタチン211の製造過程において新しい分離・生成手法を開発することである。現状使用されている化学的手法では同位体を分離することは不可能あるが、本手法はレーザー共鳴イオン化法と低速イオンビームの質量分離過程を導入することにより複数のアスタチン同位体が存在する場合でも211アスタチンのみを抽出することができる。 本年度はアスタチンレーザーイオン化に使用するレーザーシステムを整備・構築した。アスタチンのレーザーイオン化は3色のレーザー波長を必要とするので2台の色素レーザーおよび1台のチタンサファイアレーザーを整備し、それらから高出力のレーザーパワーを供給できる体制を確立した。これらの励起光源はいずれも高繰り返し・高出力YAGレーザーからなる。さらに低繰り返し高出力のエキシマレーザーおよびそれに励起される色素レーザーを整備して、繰り返し周波数におけるレーザーイオン化効率を比較できる体制を実現した。 アスタチンのレーザー共鳴イオン化を試みることは当グループにおいてはじめてになるため、レーザーイオン化波長を確認することを目的として、真空中でアスタチン原子をイオン化させ、それらイオン化されたイオンビームを質量分離およびイオン計測できるシステム(リファレンスセル)を新たに製作した。この実験は来年度前半に行う予定である。 本装置はガスセルおよび差動排気システムを必要としており、ガスセルに導入されるヘリウム/アルゴンガスの回収装置を製作する予定である。回収用真空ポンプの納期が近年の情勢により長期にわたるため、このポンプ以外の製作可能な部分の整備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本手法はガスセルと高真空装置を結合するための差動排気システムが不可欠であり、ガス循環型の差動排気システムを導入する計画である。これはアスタチンが大気中に汚染することを防ぐためである。そのため循環に必要な真空ポンプの納期待ちによる遅れが生じている。それ以外の必要部品は概ね揃っており計画通りの実験を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の初めのステップとしてリファレンスセルを用いたアスタチンのレーザーイオン化を行う。アスタチン-211は加速器からのアルファービームをビスマス標的に照射して生成される。この実験は、照射後の標的をそのまま真空中に導入し、抵抗加熱によるアスタチン原子の生成を試みる予定である。これにより、一度標的を生成すればアスタチン-211が崩壊するまでオフライン実験としてレーザーイオン化を実行できるので装置の性能を評価する目的として効率的に進めることができる。 上記の予備実験と並行してガスセルおよび差動排気システムを完成させる。ガスセル内のレーザー共鳴イオン化法は、ガス中に不純物が多く含まれるとアスタチン原子が分子化して、予定しているレーザーイオン化波長でイオン化できなくなる。これは効率を著しく損失させる原因になる。そのため高純度のガスを供給できる仕組みも合わせて完成させる。 全体の装置が準備でき次第、ガスセル中でアスタチンレーザーイオン化を行いアスタチン211の収集を試みる予定である。
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