2022 Fiscal Year Annual Research Report
第2、3の生体窓と高次非線形光学効果を駆使した深部超解像蛍光イメージング
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22H03924
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山中 真仁 大阪大学, 大学院工学研究科, 特任准教授(常勤) (90648221)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
湯川 博 名古屋大学, 未来社会創造機構, 特任教授 (30634646)
新岡 宏彦 大阪大学, 情報科学研究科, 特任准教授(常勤) (70552074)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 近赤外 / 深部イメージング / 蛍光 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、生体深部を単一細胞レベルの高解像度で可視化するために、第2および第3の生体窓の波長を積極的に活用した蛍光イメージング技術の開発を目的としている。既製品のレーザー顕微鏡システムは、この波長帯の使用を想定しておらず、十分な透過率が得られないため、生体試料内部の微小信号を検出するのには適さない。そこで、本研究では、第2および第3の生体窓の波長において、高い透過率または反射率を有する光学素子、レンズ、対物レンズなどを用い、この波長帯でも十分な信号を検出できる自作の正立型のレーザー走査顕微鏡システムの開発を進めた。開発した顕微鏡システムを用い、蛍光プローブで標識した細胞の凝集体(スフェロイド)や組織試料越しに標識細胞を観察した結果、単一細胞レベル程度の空間分解能で観察対象を観察できることが確認できた。また、生体模擬試料を用いた実験において、観察する深度を深くしていった場合でも、空間分解能の劣化が抑制できていることが確認できている。これは、従来よりも波長が長いレーザー光を励起光源として利用したことが寄与していると考えられる。現在、また、近赤外光励起で使用できる各種蛍光プローブの検討、およびAI技術を用いた画像処理についての検討を進めた。AI技術を用いた画像処理については、開発した顕微鏡で得られた低信号対ノイズ比の画像において、様々なノイズ低減技術を検討し、信号対ノイズ比の向上に成功している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要でも記載したとおり、これまでに開発を進めてきたレーザー走査型顕微鏡システム、検討を進めてきたAI技術による画像処理について当初の見込み通りの成果が得られ始めている。検討段階の内容や開発途中の内容もまだ多い状況ではあるが、確証が得られている内容について、論文にまとめ、現在、国際学術誌に投稿中である。以上の状況から、「(2)のおおむね順調に進呈している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
概ね順調に計画を進めているが、これまでの研究成果を詳細に確認し、検討した結果、今後計画している内容を実現するには、イメージング時の信号対ノイズ比のさらなる向上が必要になる可能性がある。今年度には、補償光学技術の導入など信号対ノイズ比を改善する方策を導入する予定であるが、それに加え蛍光プローブの励起方法の改善・変更、もしくは蛍光プローブの再選定も視野に入れる予定である。
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